いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

リトル・ニモと口の開いた月

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 1905年12月3日に『ニューヨーク・ヘラルド』紙に掲載された「リトル・ニモ」です。

 

 またしてもこのコマ割り...。中央の五つのコマは、左上→右上→左下→中央(円)→右下、の順番に読みます。

 

 ニモはどんどん月のほうに吸い寄せられ(月が吸ってる?)、わくわくしながら月に到着すると使者ルナティクスが待っています。そして、ニモを月の口の中へ連れていこうとするのですが、突然、月の口が閉じると、ニモが「罠なの!?」と恐怖し、ルナティクスのもとから逃げ出してしまいます。

 

 顔のある月といえば、やはりジョルジュ・メリエスの映画『月世界旅行』(1902年)が思い浮かびますね。超人気作だったので、マッケイもおそらく見ていたでしょう。メリエスの映画ではロケットが月に向かいますが、「リトル・ニモ」ではニモがベッドにつかまりながら向かいます。このベッドは、他のエピソードでもよく乗り物になっています。

 

 実は「リトル・ニモと七面鳥」のときも、夜空に浮かぶ月に顔があったんですが、今回の月はまるで写真をトレースしたかのような、細かい陰影が描き込まれています。顔があるからキャラクターなのかもしれないですが、あまり動かないし、しゃべらないので、背景の一部のような感じもします。