リトル・ニモとサンドマン
1905年12月10日『ニューヨーク・ヘラルド』の「リトル・ニモ」です。
最初のコマは、線遠近法が強力に効いています。以前(「イエロー・キッド」のときに)、絵の中のはしごを目が想像的に上り下りすると言いましたが、この遠近法のしかけもまた、視線の経路を作っています。目はどうしても、周辺部から中心部へ、消失点のあるほうに、吸い寄せられてしまう。
(でも同時に、月明かりに照らされている部分はこれからニモが上ったり転げ落ちたりする階段のはずだけれど、あまり階段に見えず、平らな通路に見えるなあとも思います。階段だよね?これ。)
いろいろと注目キャラクターがいるのですが、一番はやはり、ずんぐりとしているおじさんのサンドマン(Sandman)ですかね。手に鍵を持っているので、門番の役目をしているのでしょう。
「サンドマン」とは眠りの精という意味で、辞書を引くと、子供の目に砂を撒いて眠らせる(!)みたいですね。「リトル・ニモ」に出てくるサンドマンは砂は持ってませんが、言葉の意味的に、眠りの国へと誘う役としては適任です。
ニモが転げ落ちる場面は、いかにも夢にありそうだなと思わせます。わたしもこういう夢を見た記憶があります。いつまでたっても落ちることをやめないで、自分ではどうすることもできずに怖いまま動き続ける。ただ、いちいちベッドから落ちたりはしませんが。