いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

レアビットと帽子の男

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 1904年12月17日『ニューヨーク・イブニング・テレグラム』の「レアビット狂の夢」です。

 

 男が「おいおいチェス、そんな帽子どこで買ったんだ?」とバカにしながらチェスに声をかけます。なんせ婦人用の帽子ですからね。ところがチェスは「おまえ...なんて時代遅れの帽子をかぶってるんだ」と返事をして、すぐに最新の帽子を買ってこいと男に言います。

 

 それで男は店に入り、いろんな帽子を試着しはじめます。男はきっともやもやとした気持ちで、騙されてるんじゃないか、でもファッションリーダーの言ってることだから従うべきか、などと思いながら、店員の女性にすすめられるままおかしな格好をし続けているのでしょうね。

 

 でも最後は、「なんか得体の知れないものがいる...」と警官に思われて、追いかけられます。

 

 マッケイのマンガには、女性用の帽子をネタにしたものがいくつもあり、その多くは「よくもまあ飽きもせず、女は流行の帽子を追い求めることよ」といった風刺めいたスタンスが感じられます。

 

 マッケイの奥さんがわりとファッションに夢中だったのかもしれません。あるいは有閑階級の顕示的消費を皮肉ったのでしょうか(ソースティン・ヴェブレン『有閑階級の理論』は1899年の刊行でした)。

 

 まあでも、モデルがおっさんであるのはともかく、いろいろな帽子がカタログのように並べられているのは見てて楽しいですね。コマを順番に追っていくというより、「いろんな帽子があるなあ」と目をあちこちに動かしてしまいます。