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いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

ケイシーでの乱闘

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 1895年12月22日の『ニューヨーク・ワールド』紙に掲載された、リチャード・アウトコールトのマンガです。

 

 上のタイトルによると、この場面はアメフトのようですが、たしかにボールが転がっていたりゴールポストが描かれていたりするものの、やっている内容は全然アメフトじゃなくて、ただのケンカです。

 

 取っ組み合いをしている子供、その上に馬乗りになってる子供、踏みつぶされる子供、空中でさかさまになっている子供、顔にぶつかるレンガや棒、流れる大量の血、興奮する動物、等々、まあとにかく暴力的です。

 

 全員がケンカに集中しているわけでもなく、塀の上に座って笑っている子供や、ゴールポストで鉄棒してる子供もいます。建物の屋上で踊ってるっぽい人もいますね。塀の外からケンカの様子をうかがう警官は、この場を制止するつもりがあるのでしょうか。

 

 ケンカが行われている場所はホーガン横丁ではなく、ケイシー横丁というところで、ここにイエロー・キッドはいません。ですが、雰囲気はホーガン横丁そのものです。というより、この「ケイシー横丁」のマンガ以降、「ホーガン横丁」も騒々しいものになっていきました。

 

 1895年のアウトコールトのマンガは、どちらかといえばおとなしい、静的な印象を与えるものばかりですが、96年になると暴力的な描写がどんどん増え、そのなかで、イエロー・キッドというキャラクターが前面に出てきます。上の「ケイシー横丁」は、アウトコールトのマンガが抑制されたものから過激なものに変わっていくうえでの、大きな転機となったものです。

 

 いつもの参考文献を記しておきます。この本には大変お世話になっております。

 

 R. F. Outcault's The Yellow Kid: A Centennial Celebration of the Kid Who Started the Comics, Introduction by Bill Blackbeard, Kitchen Sink Press, 1995.

 

 ビル・ブラックビアードによるイントロダクション。イントロですが100ページ以上あり、イエロー・キッドやアウトコールトについてのとても詳しい解説が書かれています。