いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

イエロー・キッドと結婚式

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 1895年11月10日の『ニューヨーク・ワールド』紙に掲載された「イエロー・キッド」です。

 

 95年ですので、イエロー・キッドはまだ主役ではありません。ていうかどこにいるの?...と探してみると、花嫁の付添人の前に小さな子供がふたりいて、そのうち奥にいるのが、もしかしたらイエロー・キッドかなと。

 

 この年、アメリカの鉄道王ジェイ・グールドの娘アンナ(Anna Gould)と、フランス貴族のカステラーヌ侯爵(the Marquis de Castellane)との、セレブ婚がありまして、このマンガはそれを受けて描かれたものです。左上のオウムが「グールの結婚式なんか目じゃないぜ(This knocks the Gool wedding silly)」と言っていますね(いつもの文献 R. F. Outcault's The Yellow Kid (1995) による指摘)。

 

 イエロー・キッドらしき子供のすぐ上に、大人が立っていて、「結婚行進曲/ローエングリン(Wedding March / Lohengrin)」と書かれた箱に手を乗せています。「♪パパパパーン」じゃなくて、「♪ちゃーんちゃーんちゃちゃーん」のほうですね(こう書いてわかるのか...)。

 

 この箱は、蓄音機でしょうかね。ホーンはありませんが。それかオルゴールだろうか。ご存知の方がいたらぜひ教えてほしいです。

 

 手前の記者席には、このマンガの作者・アウトコールトが座っています。一番左の、黒い帽子の男です。手にしている紙には「The World / Artist」という文字が見えます。ちなみにアウトコールトは、かつて発明王エジソンのもとで働いていたことがありますので、やはりさっきの箱は蓄音機かなあという気もします。