いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

レアビットと若返りの薬

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 1905年1月3日『ニューヨーク・イブニング・テレグラム』掲載の「レアビット狂の夢」です。

 

 父と娘くらい年の離れていそうなふたりですが、じつは夫婦のようです。仲は良いみたいですね。若妻は「おバカさんなんだから」と言いながら、夫に若返りの薬を渡しています。

 

 夫のほうも「あんな若い娘と結婚するんじゃなかったな、愛し合ってはいるんだが」とつぶやいていて、妻が好きなんだけれども、年齢差に後悔しているというか、自分の老いに引け目を感じているようです。「若さが手に入るのなら大枚はたいてでも買うぞ」と、とにかく若くなりたい。

 

 それにしても、妻はよくこの薬を見つけてきましたよね。「はい、若返りの薬ですよ」なんて、風邪薬もってきたみたいに簡単に言ってるけど。

 

 男は若返っていくにつれて、言葉遣いも変わっていきます。「おお、これはすごい」「わあ!これすごくない?」「わ、わ、どうしよう、いきすぎだよ」「ちっちゃいかやなんにもてきないの」という具合ですね(赤ちゃん言葉ってむずかしいな...)。しまいには母と子の関係になってしまい、冒頭と立場が逆転しています。

 

 ちなみに、マッケイも結婚していました。妻はモード(Maude)という名で、マッケイの10歳くらい下(年齢差ははっきりとはわかりません、というのもマッケイの生年が不明なのです)、しかも結婚したのはモードが14歳のときでした。

 

 マッケイのほうがだいぶ年上ですが、夫が妻を支配するような関係だったかというとそうでもなく、むしろ事態は逆で、モードがマッケイを尻に敷いていたようです。当時の写真を見ると、マッケイは背が低くやせているのに対し、モードはわりと体格がよく眼力もある感じで、なんというか「妻の尻に敷かれる夫」のイメージ通りですね。