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いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

イエロー・キッドと野球死合

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 1896年4月12日の『ニューヨーク・ワールド』に掲載された「イエロー・キッド」です。

 

 いつものことですが、野球と言いつつやってることは野球ではないですね。野球の審判はふつう斧など持っていない。まあ、「こんなの野球じゃねえよ」とかいう発言は、そのままブーメランになって日本のマンガや(「アストロ球団」とか)映画にも(「ダイナマイトどんどん」とか)当たってしまうことがありますので、ほどほどにしておきます。それと付言しておくと、わたしはこういう野球マンガは大好きです!

 

 ところで、上のマンガはどういう局面なんでしょうね。打球をくらってるのがピッチャーだとして、バッターは、バッターボックスのあたりで目隠ししてる少年なのか、それとも、おしりを犬にかまれながら一塁に向かって走っている少年なのか。放り投げられてるバットが、目隠し少年の手から放たれたように見えるので、こっちがバッターで、走ってる子は全然関係ないんでしょうか。

 

 画面左上にあるのはスコアボードでしょう。現代の書き方とはちがって、チーム名や点数を左右に書くんですね。ホーガン横丁 vs. ライアン・アーケードの試合で、4回には、ホーガン横丁が74点、ライアン・アーケードが92点とっています。イエロー・キッドがバットを持ってるってことは、いま5回表ということかな。

 

 その下には「アナウンス」が書かれています...

 

 YESTERDAY wuz to bin de opening game but Casey's goat swallered de ball while Mickey Dugan wuz makin' a home run in de first inning so de game wuz postponed till Sunday to give de management time to get another ball. NOTISS Dat goat is ded.*1

 

だそうです。昨日の開幕試合の1回でミッキー・デュガン(イエロー・キッド)がホームランを打ったときに、ケイシー横丁のヤギがそのボールを飲み込んでしまったので、ボール調達のために日曜まで試合延期、ということですね。上のマンガは試合の続きというわけです。

 

 イエロー・キッドの服には文字が書かれた紙がくっつけてあります。「ボクの打席まで待っててよ、やつらをひどい目にあわせたりしないよー」と、怖いことを言ってます。イエロー・キッドが寝巻きを使ってしゃべるのはこれが最初ですね。彼はこれ以降、寝巻きに文字を書いて、それで発話をするようになります。

*1:R. F. Outcault's The Yellow Kid: A Centennial Celebration of the Kid Who Started the Comics, Kitchen Sink Press, 1995, p.38.