いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

イエロー・キッドとデュガン家の引っ越し

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 1896年5月3日『ニューヨーク・ワールド』の「イエロー・キッド」です。

 

 引っ越しの場面です。が、仲のよかった隣人との別れを惜しむといったものではなく、出ていく側も見送る側も「せいせいした」という感じですね。

 

 「ホーガン横丁でいちばんの邪魔者がいなくなるんだって?」「デュガンのやつらが出ていくなんてうれしいじゃないか」と書かれた板を、ホーガン横丁の人々が掲げています。画面右下の白髪の老婆は、デュガン家に対して手のひらを向け、顔を背けているように見えます。

 

 戸口のすぐ横では、男が壁に看板を打ち付けていますね。「空家・3階奥・家賃を払ってくれるなら誰でも」と書いてあります。これはもう、デュガン家の人々が出ていくタイミングで取り付けてるわけですから、「家賃を払えないやつはさっさと立ち退け」というメッセージですよね絶対。

 

 それと、デュガン家の部屋は3階にあったということで、階下の住民が騒音に悩まされていた、ということもありそうです。

 

 ところで、「デュガン」といえばイエロー・キッドの本名もミッキー・デュガンなのですが、彼は出ていくわけではなさそうです。イエロー・キッドとデュガンという名前はまだ、アウトコールトによって紐付けされていなかったのか、それとも、デュガンの名を持つ人物がこの界隈にはいっぱいいたのか。

 

 個人的に気になるのは、馬車です。まず車輪が不安定。馬にいたずらされてもいるので、この直後、馬車が無事に走っていけるのか心配です。

 

 それと、荷台にある、丸い蓋がいくつかついてる四角いもの。台所に据え付けて使うスープ鍋かなと思うのですが、よくわかりません。どなたかご存知でしょうか。

 

 それから、吹き矢みたいなもので攻撃を受けている少年。イエロー・キッドに似ていますが、似たようなキャラはひとりで十分だからさっさと出ていけということなんでしょうか。そのわりにはアパートの戸口にイエロー・キッドっぽい子供がたくさんいますが。

 

 毛の抜けてるヤギは、馬車につなぐんじゃなくて、荷台にのせてほしい。馬が火に驚いてギャロップしたらどうするんだ。...まあそのときは荷台に立ってる男性も無事ではすみそうにないですね。