いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

レアビットとベッドから落ちる女性

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 1905年1月28日『ニューヨーク・イブニング・テレグラム』の「レアビット狂の夢」です。

 

 前回の夢に続き、今回も一コマ目からただならぬ様子です。真っ暗な背景のなか、ベッドが傾いています。もしかしたらカメラアングルが斜めになっているだけかなと、ちょっと考えてみましたが、ベッドの上の女性は傾いていませんので、やっぱりベッドがおかしいようです。

 

 女性は「ひどい気分だわ。なんでベッドが揺れてるのかしら、ひっくり返りそう」と、状況をまったく飲み込めていません(まあふつうは飲み込めないと思いますが)。次のコマは、ベッドの足の、床との接地面が見えるアングルになってますので、ああこのベッドは浮いているのかとわかります。もっとも、一コマ目ですでに、女性とベッドだけが宙空をさまよっていると読んだ人もいるかも。わたしもなぜかそう読みました。

 

 女性はベッドから振り落とされまいと必死にしがみつくのですが、次第にあきらめ、自ら死を決意し(「こんな旅立ちはいやだけど...アデュー!」)、ベッドから手を離します。すると、風向計にひっかかり一命をとりとめます。

 

 しかし女性は「助けて」と叫びつつ、「こんな姿をフィアンセ(my intended)に見られたら、彼はなんと言うかしら...これじゃ死んだほうがマシよ」とも言ってます。婚約者に見られたくない姿があるという心配が、このような夢となって表れたのでしょうか。

 

 ところでこのエピソードは1906年エドウィン・S・ポーター(Edwin S. Porter)によって映画化されています。YouTubeで見れるので(dream of the rarebit fiend film - Google 検索)興味のある方はぜひ。主役は男性になっています。