いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

リトル・ニモとフリップ初登場

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 1906年3月4日『ニューヨーク・ヘラルド』の「眠りの国のリトル・ニモ」です。

 

 一週間たって、眠りの国のゲートが開きました! 前回のエピソードとの連続性が保たれています。これ以降「リトル・ニモ」は、回ごとの物語の中身が連続するようになります。ニモは毎回目が覚めてしまうのですが、次の回では前回の夢の続きを見ることができるようになりました。

 

 ニモは、責任者のリトル・ボンボンとともに、眠りの国に入っていきます。入国のための登録をして、正装に着替え、馬に乗って王様とお姫様のところまで行く、というところですね。眠りの国はとても広いので、じつは王様たちに会うまでこれから何週間もかかるのですが。

 

 それと、なんといっても今回重要なのは、脇役フリップの登場です。背の高い帽子をかぶり、巨大な葉巻をくわえた、目のまわりが緑色の人物ですね。

 

 眠りの国の人々はみなフリップのことを知っているみたいですが、あまり関わりたくないと思っているみたいです。ボンボンがフリップを見つけるや否や「どうか頼むからニモに会わないでくれ、ニモが起きてしまうから」と言ってます。フリップは、物語の説明文によると、この世界ではのけ者にされていて、というのも彼は「夜明けの一族」の者なのですね(An outcast relative of the Dawn-family)。

 

 フリップはどうやらニモに夜明けをもたらす力を持っているようです。実際、会ったとたんにニモは「あっ、目がさめてしまう」と叫び、次のコマでは自室のベッドの上です。

 

 これまでニモは、眠りからさめたくないのに自らのミスでさめてしまったケース、あるいは、落下などの恐怖のあまり目がさめたケースなど、いずれにせよ何らかの不運で眠りの国から離脱していたわけですが、フリップは意図的にニモを夢からさまそうとするキャラクターです。

 

 フリップがニモのじゃまをするのは、彼もまたお姫様に会いたがっているからです(ボンボンに「おれもお姫様に会わせろよ」と言ってます)。これまではたぶん厳重なセキュリティのためになかなか会うチャンスがなかったんだけど、今回ニモが会いにいくということで、警備が手薄になったのかもしれませんね。

 

 というわけでフリップはこれから、トラブルメーカーとしてニモの前に立ちふさがります。長い付き合いのはじまりです。