いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

レアビットとタールと羽根

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 1905年2月1日『ニューヨーク・イブニング・テレグラム』の「レアビット狂の夢」です。

 

 なんか、7コマ目にすごいのがいますね。これは帰宅した夫の姿を見て、妻が失神しているところです。

 

 なぜこんなことになったかというと、ある秘密結社に所属している夫が、その秘密を妻にばらしてしまったからです。どんな秘密かわかりませんが、最初のコマで夫が「全部しゃべっちゃったけど、おまえ誰にも言うなよ」と念を押しています。

 

 妻は「わかってるわ」と言いながら、次のコマでさっそくばらしてます。もっとも、夫からの念押しの言葉こそが物語的には秘密暴露のサインであり、こうなることはわかっていました。秘密はあっというまに知れ渡り、この夫は仲間からリンチを受けることになります。

 

 そこで「タールと羽根」です。マーク・トウェインの『ハックルベリー・フィンの冒険』にも出てきますが、まず全身にタールを塗って、その上から鳥の羽根をくっつけて見せしめにする刑罰です。英語で「tar and feather A(Aにタールと羽根をつける/Aを厳しく罰する)」という動詞にもなっています。

 

 刑罰を行う男たちの姿が悪魔っぽいですね。危ない宗教団体なんでしょうか。ちなみに、作者のマッケイも秘密結社のフリーメイソン(Freemasonry)に所属していました。日本では陰謀論などとともに、怪しまれながら語られることの多い秘密結社ですが、欧米ではわりと一般的のようです。