いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

レアビットとスピーチうまく言えない

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 1905年2月4日『ニューヨーク・イブニング・テレグラム』の「レアビット狂の夢」です。

 

 同じ構図のコマが七つ続きます。コマが進むにつれて、人々の表情がどんどん曇っていきますね。立って話をしている人からは汗がしたたり落ちています。

 

 状況を説明しますと、最初のコマでいちばん奥の人が「ヨーロッパから帰ってきた親友に向けて、ぜひスピーチを」と、画面手前の男の人にお願いします。いちばん手前にすわる妻も「それがいいわあなた、スピーチしてちょうだいよ」と言うので、男の人が立ち上がって話を始めます。

 

 ところがこの男性、スピーチで噛みまくります。

 

「エヘン! みなさま、わたしたちが元気に戻ってきた友人を歓迎することに、疑いをさしはさむ余地はありません。オホン! ですが、かんげる、かげを歓迎している...エヘン!

 あれを、かげを歓迎している...えーつまり、かで、かげを、彼をかんげるときに...かげ、あれを、かげを、かげを歓迎...

 ゴホン! わたしたちはかげ、かげを、あれを歓迎しているわけですが...わたしたちはみな彼を歓迎するわけですが...

 かげをかげを歓迎している...エヘン! かげ、あれ、かげを、彼をかんげる...かげを、かげを歓迎しているのですが...

 オホン、失礼しました、かげを、あれ、かげをかんげる...かんげる...

 かげをかんげる、かげをかげる、かんげる...」

 

 ...こういうのを訳すのってすごい難しいですね。まったく自信ないですが、雰囲気くらいは伝わったでしょうか。

 

 まあそれはともかく、スピーチを任された男性はどうしても「welcoming him」がうまく言えず、スピーチがそこで止まってしまいます。周囲の人たちも「もうやめて」と、心配してなのか迷惑してなのか、男性を遠巻きに見ています。妻の「気にすることないわよ」の言葉がいちばんつらいな。