いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

レアビットとタバコ屋の人形

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 1905年2月8日『ニューヨーク・イブニング・テレグラム』の「レアビット狂の夢」です。

 

 男がぶつぶつ言いながら道を歩いています。「うちの女房の母親、あいつはほんとうにやっかいだ...タバコでも吸って忘れよう」と言ってますね。義理の母親とうまくいってないようです。

 

 マッケイ自身、義理の母親とうまくいってなかったことが知られています。マッケイの奥さんの母親は、何度かマッケイ夫婦の家に住んでいたらしく、それがマッケイにとって悩みの種となっていました。

 

 一方、マッケイの母親もたびたびマッケイ夫婦と一緒に暮らしていたみたいで、それはマッケイの奥さんにとって苛立ちの種でした。マッケイ夫婦はそれぞれに姑問題を抱えていたわけです。大変ですね。

 

 マンガに戻りましょう。男がタバコ屋の前に来ると、タバコ屋に設置してある女性インディアン人形がしゃべりだします。義母や妻と別れたいという希望が、目の前の人形を恋愛対象として現実化させたのでしょうか。すでに人形は男に恋していて、「ああダーリン愛してるわ、キスしてちょうだい」と猛烈アピールです。

 

 3コマ目で男は人形に抱きつかれていますが、まんざらでもなさそうですよね。5コマ目では熱いキスをかわしています。これ全部、男の妄想じゃないかなあ。現実世界にはもう希望がないので妄想の世界に逃げ込んでいるのではないだろうか...あれ、目から熱いものがあふれてきた...。

 

 抱擁シーンを義母がのぞき見していますね。さっそく娘にばらして、トントン拍子に離婚手続きです。裁判所で男は、別れた妻への慰謝料として毎分5000ドル(!)を支払うよう命じられます。男はそれでも、人形の愛を支えに生きていくんでしょうね。