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いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

イエロー・キッドと独立記念日(爆竹)

イエロー・キッド

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 1896年7月5日『ニューヨーク・ワールド』の「イエロー・キッド」です。

 

 アメリカ独立記念日のマンガですね。前年にも独立記念日の回はありました(イエロー・キッドとグロリアス・フォース - いたずらフィガロ)が、前回とはまったくちがって今回はかなり騒々しいです。なんといっても、前回が「祭のあと」だったのに対して今回は真っ只中ですからね。

 

 イエロー・キッドは真ん中で爆竹を持っていて、周囲では爆竹がいくつも破裂しています。打ち上げ花火を持ってる子もいて、火がアパートのほうに飛んでいってます。アパートのベランダには子供たちがぎっしり詰まっていて、恐いもの見たさに下をのぞいています。はしごにいる人たちは、下でやってるお祭り騒ぎに加わろうとして上の階から下りてきたのか、それともお祭り騒ぎがあまりにひどいので上の階へ逃げようとしているのか、どっちでしょう。どっちもかな。

 

 アパートから落ちてる子もいます。このブログで最初に紹介したイエロー・キッド(イエロー・キッドと野犬捕獲人 - いたずらフィガロ)でも落ちてくる少年がいましたが、これと同じ雰囲気を感じます。マンガだから楽しいような気もしますが、実際にはぜんぜん笑い事ではない状況ですね。鳥かごの中のオウムも「こりゃあ見かけほど面白くねえぞ(This aint as funny as it looks)」と言ってます。鳥かごごと落ちてますからね。

 

 「イエロー・キッド」の人物たちは、ふきだしでしゃべることがあまりないのですが、そのかわり動物たちがふきだしを使うことが多いです。正面のアパートの屋上に黒いヤギがいて、このヤギもふきだしを使っています。「あたしに会ったこと、みんなに伝えてよ(Just tell them that you saw me)」だそうです。伝えましょうみなさん。

 

 「イエロー・キッド」と同時代のシンガーソングライターにポール・ドレッサー(Paul Dresser)という人がいて、彼の1895年のヒット曲がまさに "Just Tell Them That You Saw Me" です。学生時代に友人だった女の子に久しぶりに会ったら、見る影もなくやつれていたので、「いっしょに故郷に帰らない?」と誘うのですが、その子は「そうしたいのはやまやまだけど、今は無理だから、あなたみんなに会うんなら私に会ったこと伝えてよ、お母さんにも愛してるって伝えて」と答えるという、なんとも切ない歌です。

 

 ホーガン横丁のアパートにはギターと発声の練習をしている部屋があって(画面左上)、きっとそこでもこの歌が歌われているのでしょう。爆竹の音で聞こえないかもしれませんが。