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いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

イエロー・キッドと屋上のステージ

イエロー・キッド

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 1896年7月26日『ニューヨーク・ワールド』の「イエロー・キッド」です。

 

 イエロー・キッドのとなりにいる少女は、やっぱりガールフレンドなんでしょうかね。イエロー・キッドの寝巻きには「ボクとリズの席がないんなら、ちょっとステージに出てみようかな、それか、だれか客を脅すのもいいな(If me an Liz cant git no seat we kin git upon de stage an do our little turn or strike willie fer a box)」と書かれています。彼女の名前はリズというんですね。イエロー・キッドは彼女に、自分が強い男なんだとアピールしようとしているようです。

 

 屋上でビアガーデンみたいなことは、19世紀末にはもう行われていたんですね。ステージも設けられていて楽しそうです。でもまあふつうは、こどもたちだけでこんなことをやるはずもなく、このマンガのこどもたちは、いつもより大人びているように思います。

 

 いろいろなこどもたちが客席にいます。リズのすぐ奥に、どでかい帽子をかぶった女の子(キティ・デュガンという名前があります)や、ウェイターがこぼした水(酒?)に驚く少年、塀の上でほおづえをつきながらステージを見ている少年など、ひとりひとりがこの夜を楽しんでいます。

 

 ステージ上の演し物は、いったい何をやっているんでしょうね。少女は歌っているのか、劇の台詞を言っているのか。「お母さんの頭に私のひざを乗せてもいいですか(Could I but lay my knee on mother's head)」って言ってますね。ひざ枕してもいいですか、ならいいでしょうけど、頭にひざを乗せるのはちょっと...。あと、真ん中に立つハタ坊みたいなやつはちょっとかわいい。

 

 かわいいといえば、私のお気に入りは、どでかい帽子をかぶった女の子の少し奥にいる、やはり帽子をかぶった、チェック柄のドレスの女の子ですね。ステージをじっと見ている子です。この子かわいくないですか!? 

 

 ステージ横に大きく書かれたプログラムからは、当時の人気演目をうかがうことができます。イヴェット・ギルベールやエマ・カルヴェといった、パリの女性歌手の名前がありますね。ドイツの作曲家ペーター・コルネリウスの、詩のタイトル Du meiner Seele schönster Traum(「君は我が魂、最高に美しい夢」とか訳せばいいんでしょうか)も書かれています。オペラかな。

 

 いちばん上には「マクスワット氏と彼の犬たち(Signor McSwatt an his trained dawgs)」とありますので、犬を使った見世物でしょう。そのすぐ下には「ヘルズ・キッチン代表とチェリー・ヒル代表の早口競争(lightning talking fight)」とあります。ライトニング・トーキング・ファイト! 見てみたいです。

 

 「マミー・ホーガン(人間バエ):飲み物が視界に入ると歩いたり飛んだりします(Mamie Hogan (The human fly) She can walk or fly when anything to drink is in sight)」という見世物もあります。めちゃくちゃですね。当時のヴォードヴィル(見世物小屋)でもこういうのが人気があったんでしょうか。