いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

リトル・ニモと妖精のマジック

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 1906年4月15日『ニューヨーク・ヘラルド』の「眠りの国のリトル・ニモ」です。

 

 プリンセスが白いユリの花に囲まれています。コマ全体が真っ白ですね。こんなにあったら匂いでむせ返るほどだと思いますが。ユリの花はあらすじの文章を隠してしまうほど群生しているので、あらすじの文章はユリの花を避けるように書かれています。

 

 そのあらすじには「手品師登場」とあります。③と④のコマに怪しげな風貌の男がいて、ニモにお辞儀をしています。今回は、彼がニモたちをエスコートするわけです。

 

 ...かと思ったら、手品師は妖精をつれてきて、実際には彼女が魔法を見せてくれるのでした。卵がわれて、うさぎたちが現われ、うさぎがひく車で宮殿へと向かうようです。

 

 卵がわれたコマの右端で、「うわあ」と驚いている人がいますね。身なりからすると警官のようですが、あらすじによると「眠りの国で眠ることを許された、ただひとりの人物(the only individual that was permitted to sleep in Slumberland)」だそうです。そんな面白そうな設定の人がいたとは! どうも今回のマンガは、手品師とか妖精とか眠る警官とか、エピソードひとつ分では消化できないキャラクターがたくさんいますね。あとうさぎもいるし(うさぎ好き)。次週も出てくるんでしょうか。

 

 警官は飛び起きて、何事かと思ってニモたちを職務質問です。あたりは夜になっています。だいぶ時間がたったがまだ同じところにいる、ということの表現であると同時に、最初の真っ白なコマとの対比という意味合いもあると思います。

 

 眠りの国にも昼と夜はあるんですね。太陽は見えていないんでしょう。それと、眠る警官だけが眠ってもよいということならば、他の人々は夜になっても眠らないんでしょうかね。