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いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

リトル・ニモと門のない壁

眠りの国のリトル・ニモ

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 1906年4月22日『ニューヨーク・ヘラルド』の「眠りの国のリトル・ニモ」です。

 

 コンドルが出てきました。横長のコマいっぱいに広がる翼が雄大ですね。

 

 ニモたちは先週に続いて、うさぎがひく車に乗り、これで宮殿に向かっています。それにしてもこのうさぎ、ニモよりも大きいんじゃないだろうか。フレミッシュジャイアントとかいうレベルじゃなくデカい。魔法のなせるわざでしょうか。このうさぎたちは妖精が出現させたものでしたので。

 

 それに、そういえばコンドルの大きさだって尋常じゃない。鳥というより翼竜です。

 

 ニモたちが向かう宮殿は高い壁に覆われていて、しかも門がないようです。①のコマでニモとお供のキャンディが「壁に門がないの? どうするの?」「ええ、コンドルに乗って壁を越えるのです」とやりとりしています。空を飛べる者だけが宮殿に入れるのですね。

 

 途中、ニモたちはフリップに追いつきます。フリップはガチョウのひく車でのろのろ走っています。遅いですが、ニモ一行がいろいろトラブル続きだったため、フリップがリードしていたのでした。

 

 そして競争がはじまります。現代のマンガであれば、速さを示すスピード線が描き込まれるところですが、マッケイはそうしません(スピード線自体はこの当時すでにありました)。動物たちの走る姿そのもののかたち、うしろに流れる手綱、車輪の模様の変化などで、彼らが全速力で走っていることを表現します。実際には見えることのないスピード線などを使わず、見えるものだけを描くあたり、絵画的だと感じます。

 

 フリップとガチョウがふわりと浮かぶところとかたまりませんね。リアルな「ふわり」感がすごい。その勢いのまま浮かんでいって、見事、壁を越えます。読者はフリップの一連の動きを、頭のなかで動画再生できるんじゃないでしょうか。

 

 フリップが中央上部に描かれていること、フリップを地上から見上げる構図、お月さまがフリップを見ていることなど、今回のマンガは完全にフリップが主役ですね。ガチョウもがんばった。ちなみに、がんばって飛ぶガチョウが出てくる『ニルスのふしぎな旅』は、この「リトル・ニモ」と同じ1906年の刊行でした。