いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

リトル・ニモとジャイアント・ニモ

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 1906年5月20日『ニューヨーク・ヘラルド』の「眠りの国のリトル・ニモ」です。

 

 今回のマンガは、ニモとフリップの関係に、転機が訪れます。

 

 タイトルのコマでは、中央の家来が手紙を持ち、他の家来たちがそれを取り囲んでいます。手紙にはニモのことが書かれているのでしょう。読んでみると、「ニモはマイスト(Mysto)によって巨人となり、巨人の護衛たちがいる第四の門を通過できるようになったが、ニモはマイストに従わず、あろうことかフリップの救出に向かったため、マイストは罰としてニモを小人にしてしまった」とあります。

 

 ううむ、いろいろ気になります。まず、マイストという女性の登場です。白いドレスには青いコウモリとネコの絵があるから、魔術的な人物ということでしょう。②のコマでニモと挨拶し、そのあとニモを魔法で巨人にします。なぜ巨人にするのかというと、「第四の門にいる巨人の護衛たちに対抗するため」だそうです。これから第四の門が待ち構えているわけですね。

 

 王様とプリンセスに呼ばれた大事な客であるニモが、なぜ門番と張り合う必要があるのか...そこはふつうに顔パスでなんとかならんのか、と思わなくもないですが、まあともかくニモは巨人になります。

 

 するとニモは、第四の門に向かわずに、道を引き返して、高い塔のてっぺんにしがみついているフリップのところへ行きます。キャンディは「フリップを助けるなんてとんでもない!」と必死に止めますが、ニモはフリップをやさしく地上へ下ろします。フリップはというと、ニモに助けられて「おれのことこわいんじゃなかったの?」と言ってます。これ以降、ニモとフリップは単なる敵対関係ではなくなるのでしょうか。それにしてもよかったなガチョウたち。

 

 ⑦のコマでは、手前のフリップとガチョウたちがくっきりと描かれていて、また遠くからやってくる巨人のニモもくっきりと描かれているので、どちらも、背景に対して同じような目立ち方をしているというか、近くと遠くと両方にピントが合っているようで、ふしぎな感じがします。

 

 ニモはフリップを助けたあと、第四の門に向かうのかと思ったら、マイストによって小人にされてしまいます。キャンディが「マイストが罰として君を小人にしてしまった!」と嘆いています。

 

 王様とプリンセスに呼ばれた大事な客であるニモが、なぜ罰せられなければならないのか...マイストってそんなえらい人なの? と思わなくもないですが、これでは巨人の護衛たちと張り合えるわけもなく、物語はここで中断です。巨人の護衛たちってどんなでしょうね。「リトル・ニモ」は次週が気になるようなしかけを作ってきました。