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いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

イエロー・キッドとマクファデン通りのパレード

イエロー・キッド

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 1896年10月25日の『ニューヨーク・ジャーナル』紙に掲載された「イエロー・キッド」です。

 

 掲載紙が『ワールド』ではなく『ジャーナル』です。掲載紙についてまとめると、

・1896年10月4日、『ワールド』でアウトコールトの「イエロー・キッド」最終回

・1896年10月11日、『ワールド』でジョージ・ラクスの「イエロー・キッド」初回

・1896年10月18日、『ジャーナル』でアウトコールトの「イエロー・キッド」初回

という具合です。

 

 10月18日の『ジャーナル』初回のマンガについては、じつはすでに紹介していました(イエロー・キッドの引っ越し - いたずらフィガロ)。忘れてた。なので今日は、その次の週のものですね。

 

  アウトコールトの「イエロー・キッド」に関して、『ワールド』と『ジャーナル』との最大のちがいは、絵の周辺にある活字の文章にあります。『ワールド』では、「イエロー・キッド」の絵とオーバーラップしている活字は「イエロー・キッド」と全然関係のないユーモア小話の集まりでしたが、『ジャーナル』では、絵の周辺にある活字(上のマンガだと画面左上に階段状に並んでいる文章)は、「イエロー・キッド」について書かれた物語になっています。

 

 この文章を書いたのは、エドワード・W・タウンゼンド(Edward W. Townsend)という人です。誰それ? という感じですよね。でもタウンゼンドは、『ニューヨーク・サン』という新聞に連載していた小説『チミー・ファデン(Chimmie Fadden)』で当時ものすごく人気のあった作家で、これが本にまとめられるとベストセラーとなりました。

 

 つまり『ジャーナル』社主のハーストは、人気漫画家だけでなく人気作家も他紙から引き抜いていたのですね。しかもそのふたりで新しいマンガを作ったわけです。これは当時インパクトあったと思います。

 

 タウンゼンドの文のなかには、このマクファデン通りにいる人々の名前がいくつか書いてあります。ティム・マクファデン(このアパートの所有者)、マリー・マーフィー(右上の窓のところにいるおばさん)、ダニガン兄妹(画面左・枠付きの絵のなかで、柱に縛り付けられているイエロー・キッドを樽のかげから眺めているふたり)といった名前があります。ほかにも、掃除人のコンゴ、酒場のケリー、食料品店のクレイマーなどですね。

 

 それから、先週のマンガにはリッカドンナという名前が文中にあったのですが、今週のマンガで「リッカドンナ・シスターズ」という名前で登場しています。アパートの前で並んでいる四姉妹です。

 

 ホーガン横丁からおなじみの、キティ・デュガンやモリー・ブローガン、それにリズも健在です。キャラクターが増えてきて、話が広がりそうですね。

 

 あとは...画面左上の美女とカラスについて一言。これはアウトコールトの絵ではなく、アーチー・ガン(Archie Gunn)という人気イラストレーターのものです。「イエロー・キッド」の掲載紙は、厳密にいえば『ジャーナル』の日曜別冊付録『アメリカン・ユーモリスト(American Humorist)』ですが、ガンの美女とカラスは、この別冊付録の表紙にマスコットキャラクターとして描かれました。

 

 この美女とイエロー・キッドがいっしょに遊ぶ姿もそのうち描かれることになります。近いうちに紹介しようと思います。