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いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

イエロー・キッドとホースショー

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 1896年11月8日『ニューヨーク・ジャーナル』の「イエロー・キッド」です。

 

 以前にドッグショーがありましたが、今回はホースショーです。しかし本物の馬は一頭しかおらず、それもひどく痩せています。

 

 イエロー・キッドは「マディソン・スクエア・ガーデンのホースショーのほうはもっと立派なところだけど、ボクたちのところみたいなルックスとウィットはないよ(De Madison Square Garden Show may have more fine close but dey aint in it wit us fer looks and wits)」と言ってます。たしかに、馬でないものを馬に見立てる工夫に関しては、どこにも負けていないかもしれません。

 

 まず、画面左側でリズが木馬に乗っています。というかリズはこんな顔をするんですね。不安定な足場が怖いのか、あるいはすでに足をすべらせてしまったところなのか。イエロー・キッドをはさんで反対側の、ヤギ車の御者をしているキティ・デュガンのすました顔とは大ちがいです。

 

 キティ・デュガンやモリー・ブローガン(緑色の服の少女)の帽子には、蹄鉄が描かれていますね。蹄鉄は昔から幸運のシンボルですので、蹄鉄マークのないリズは転びそうになっている、ということでしょうか。

 

 このマンガも、いつもとおなじように字が多くて、いちいち訳すのめんどくせえ! という感じですが、それでも読んでみるとおもしろいものです。たとえば、これもいつものことですが、いちばん上にアパートから落下する少年がいて、彼は「冬になったらこうやって落ちるのやめようと思うんだ」と言っています。そうなのか。

 

 この少年はいつも落ち着き払っていますね。このマンガでは、手に『マクファデン通り歌集』を持っています。歌いながら落ちてきてるんでしょうか。

 

 彼の落下芸が簡単そうに見えたのか、別の少年が彼のマネをして大ケガしてます。画面左の、リズの向こう側にいる少年です。「アパートから落ちるのをマネするのはもうやめよう、マネするならイエロー・キッドにしよう」だそうです。

 

 それと、これだけはぜったい指摘しておきたいというふきだしがありまして、それはイエロー・キッドの足下にあるんですね。気づきました? なにか丸いものから出ていて、かなり小さくて読みづらいんですが、どうも I ain't de only peddle on de beach と書いてあるように見えます。意味は「おれはただの小石さ」ですね。「ただの小石さ」としゃべるなんてもうそれただの小石じゃないですよ。こんな小さなところにまでネタを仕込んであるとは、「イエロー・キッド」はまったく油断なりませんね。