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いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

イエロー・キッドと女性たちのフットボール

イエロー・キッド

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 1896年11月15日『ニューヨーク・ジャーナル』の「イエロー・キッド」です。

 

 これは日曜付録『アメリカン・ユーモリスト』の表紙ですね。真ん中に大きく、イエロー・キッドと、この付録のシンボル・キャラクターの女性が描かれています。彼女に名前はないのかな。このキャラクターを描いたのはアーチー・ガンというイラストレーターなので、さしあたり、この女性をガン・ガールと呼びたいと思います(ギブソン・ガール的な感じで)。

 

 イエロー・キッドはボールを持って、ガン・ガールに渡そうとしているのでしょうか。寝巻きには「きみは魅力的だけど、ボールを片手ではもてないでしょ」と書かれていますが、ガン・ガールはイエロー・キッドのほうに片手をのばしています。「ちょっと貸してごらんなさいよ」とでも言っているのでしょうか。

 

 中央にひとつ、それから画面右下にもひとつ、弧が描かれていて、場面のおおまかな境界線になっています。「おおまかな」というのは、ガン・ガールたちの体の一部が境界線を少しまたいでいるし、そもそもこの弧は閉じた領域を作っていないからですね。なんとなくの境界線であるとともに、紙面上の装飾的な描線でもあります。

 

 真ん中の場面は、イエロー・キッドとガン・ガールにだいぶ近づいた視点ですが、上下の場面はそれぞれ広い範囲を描いています。上は、ガン・ガールたちがフットボールをしているところで、たぶん彼女たちが目当ての男たちが歓声を上げています。

 

 イエロー・キッドは寝巻きで I got de biggest feet in dis game と言ってます。アメフトのルールはあまりわかりませんが、これは「このゲームいちばんのゲイン(前進)だぜえ」とでも訳せばいいのかな。ガン・ガールたちは、よく見たらヒール履いてますね。そりゃ転びますよ。

 

 下は...なにをやっているんだろう。服を脱がせたり、担架で運ばれたりしてます。担架の女の子のまわりには天使たちがいて、また男たちがハンカチで顔を覆っているのですが、え、この女の子、死んじゃったんだろうか。無事だといいですね。コスチュームはステージ衣装という感じですが(まあそもそもこの時代、いまのアメフトのようなプロテクターはなかったでしょうが)、ゲームが進むにつれてマジの肉弾戦になっていって、左下で相手の服を脱がしているのは、その延長線上のできごとなのかもしれません。