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いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

レアビットと葉巻と魚雷

レアビット狂の夢

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 1905年5月8日『ニューヨーク・イブニング・テレグラム』の「レアビット狂の夢」です。

 

 男がボートの上でタバコを吸ってます。「さあて、このハバナ産の葉巻に火をつけて、いまからたっぷり楽しみたいと思いまーす。水の上で吸うのがいちばんおいしいよね。ああこれはうまい」と言ってます。ここは海なのでしょうか、だいぶ広いところですね。

 

 「これはうまい」のところ、英文では This is swell となっています。swell は「素敵な」という意味で、「吸える」と訳したい衝動にかられてもいますがまあそれはともかく、この単語、「膨張する」という意味もあり、この話はだから葉巻が膨張していきます。6コマ目など、ボートより大きくなっていますね。

 

 ただこのマンガは、膨張するタバコ以上の脅威が待ち構えています。

 

 2コマ目、男が「うめえうめえ」言ってるとなりに、謎のふきだしが置かれています。「港のほうになにか発見したでありまスキー(I have the great honor to report an objectski abaft the portsideski)」と書いてあります。だれが話しているのか。ここにはだれもいないように見えます。

 

 が、3コマ目以降、このふきだしが水平線に浮かぶ軍艦から発せられたものだとわかります(そう思って2コマ目に戻ると、水平線のうえにものすごく小さな線が描かれていますね)。せりふが大仰なのは軍人の言葉だからで、また objectski とか portsideski とか、語尾が「〜スキー」になっていることから、この軍艦がロシア軍のものだとわかります。

 

 ロシアの軍艦はこの巨大葉巻を魚雷と勘違いし、戦闘態勢を整えはじめます(Clearski the deck off for actionsky)。その頃になると、タバコを吸っていた男もロシアの軍艦に気づいていて、「ありゃあロシアの艦隊だ、この葉巻が日本の軍艦だと思われないといいんだけど...」とつぶやいています。日露戦争中でしたからね。というかここはロシアか日本の近海なんだろうか。おまえは太平洋を渡ってきたのか?

 

 結局、砲弾が発射され、葉巻は削り取られます。砲弾はきれいに列をなしていますね。ここだけ連続写真になっていて、ひとつの砲弾の時間軸が示されているのか、あるいは、砲弾が何発も撃たれていることの誇張表現なのか、ちょっと判断しかねます。