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いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

レアビットとカメの大群

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 1905年5月17日『ニューヨーク・イブニング・テレグラム』の「レアビット狂の夢」です。

 

 最初のコマ、枕にカメがいて、男がそのカメを凝視してます。「これはちょっと我慢できないな...」とつぶやいてますね。でも、このコマはなんかかわいらしいというか、カメかわいいな。カメがいるとあたりの時間の流れがゆっくりに感じて、こちらの心も穏やかになるんですが、それはわたしだけでしょうか。男も我慢できないと言いつつ、激怒してる風ではなく、冷静さを保っています。

 

 ただ、おそらくそれはカメが一匹だけのときの話で、2コマ目のように何匹もベッドを歩いていたら、さすがに慌てますね。男はインターホンで「おい、ここは一体どんなホテルなんだ? ちょっと来てくれ」と、フロントに連絡しています。ここはホテルのようです。

 

 男は、ベッドに押し寄せるカメを(カメで)薙ぎ払ったり、「おまえらぜったいこっち来んなよ!」とカメに向かって声を荒げたりしますが、当然ながらカメはおかまいなしで、目的地のベッドに何度もやってきます。いい匂いでもするのかな。

 

 で、男はまたインターホンで「部屋を替えてくれ! こんな水族館じゃ寝れないよ!」と話しますが、なぜか7コマ目でインターホンから勢いよく水が噴き出し、カエルやヘビやトカゲなどが水とともに現われます。「またお届けものですか...(I guess this is the second consignment)」というセリフがいいですね。

 

 水族館というのは教育的な目的と見世物的な目的とが入り混じった施設で、教育かつ見世物といえばやはりサーカス興行のP・T・バーナムの名前が外せません。実際バーナムは19世紀半ば、動物園や美術館、蝋人形館や劇場などが入った「バーナム・アメリカ博物館(Barnum's American Museum)」というのを作って、そのなかに水族館も入れてます。マッケイが生まれる前にこの建物は焼失してしまいますが。

 

 1896年にはマンハッタン島南端のバッテリー・パーク内にニューヨーク水族館(New York Aquarium)というのもできましたが、こっちはバーナムのほうと比べるともっと学術寄りですね。マッケイは学生時代ろくに学校にも行かずに見世物小屋でバイトしてた人ですし、なにより漫画家という、芸人みたいな仕事についた人ですから、バーナムの博物館が焼失してなかったらぜったい行ってたと思います。