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いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

リトル・ニモと人間大砲

眠りの国のリトル・ニモ

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 1906年10月14日『ニューヨーク・ヘラルド』の「眠りの国のリトル・ニモ」です。

 

 前回、ニモとお姫さまはループ・ザ・ループで移動していて、その車に乗るときにたしかお姫さまは「これが最後の乗り換え地点よ」とか言ってましたが、それが最後ではなかったようで、今回、彼らは星柄の赤い砲弾に乗り込んでいます。ループ・ザ・ループのあと、どうやってここまで来たのかはわかりません。

 

 人間大砲のエピソードも以前「レアビット」のほうでありましたね(レアビットと人間大砲 - いたずらフィガロ)。これも当時サーカスの演目でしたが、ここ眠りの国では移動手段のようで、家来たちが「急げ!」とか「弾をつめろ」とか「もうちょっと下だ」とか、慌ただしく働いています。それで3コマ目、ものすごい轟音で(「耳がつぶれる!」と家来が言ってる)砲弾が飛び出します。

 

 家来たちは耳をふさいでいますが、砲弾の窓から見えるニモの顔から察するに、弾のなかはうるさくないようです。でもニモは「こんなのぜんぜん、ちっとも好きじゃないよ」と、楽しいわけでもないようですね。お姫さまは「あら、わたしは好きよ」と言っています。アトラクションに関してはふたりは対照的です。

 

 4コマ目は空が黒いですね。宇宙空間まで飛んでいったんでしょうか。「帰ろうよ、危ないよ...」とニモは弱気ですが、お姫さまによれば「あと2分でパパのところにつくわ」ということです。ようやくですね。これまでさんざん引き延ばされていますからね。

 

 そのうち、砲弾は上下ふたつの部分にわかれ、それぞれをあらかじめつないであった何本ものロープがだんだんとひきしまっていきます。ただ、ニモとお姫さまの重みにしたがってすぐさまロープがぴんと張るのではなく、5コマ目と6コマ目ではロープはゆるんだままです。ゆっくりとゆっくりと、底が落ちているのでしょうね。ニモとお姫さまを受け止める皿のやさしさが感じられます。

 

 砲弾はまるで気球のようになり、ニモはおびえ、お姫さまは興奮しています。しかし7コマ目で地上に宮殿が見えてくると、ニモもようやく笑顔になりました。王様の宮殿に到着です。背景の無地の黄色が目を引きますね。前回のエピソードもそうでしたが、彩色は、見事な線画によらずとも読者の目を引く表現として有効だなと思います。