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いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

リトル・ニモとカーニバル開会宣言

眠りの国のリトル・ニモ

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 1906年11月4日『ニューヨーク・ヘラルド』の「眠りの国のリトル・ニモ」です。

 

 カーニバルを行おうとする王様は、フリップがいちいちじゃましにくるので、ついに怒りはじめました。前回は一言もしゃべらず、おとなしくフリップの言うことに耳を傾けていましたが、今回は1コマ目で「フリップ・フラップ、おまえにはもううんざりだ。カーニバルはやめにしようと思っておる。ふたりとも控えの間にさがるように」と、フリップに言っています。

 

 フリップは「声を荒げたってムダだよ」と、ほとんど気にかけていない様子ですが、となりのニモは「なんでボクも控えの間に!?」とでも思っているのか、唖然としています。お姫さまは「パパ、どうか怒らないで」と、王様の大きな手にすがっていますね。それと、左端の衛兵は「あのガキを一発でいいから殴りてえよ」と、こちらも相当怒っているようです。

 

 そんなわけでニモとフリップは、2コマ目以降、控えの間で行儀よくすわっています。フリップとニモがこんなふうに近づいて、そこそこの長さの会話をつづけるというのははじめてじゃないでしょうか。

 

 「オレはほかの日曜付録のガキみたいないたずら好きとはちがうんだぜ、公平さを求めているだけなんだよ。お姫さまはオレのことが好きだし、オレだってお姫さまのことが好きさ」「好きなのはいいけど、ショーをじゃまするのはよくないよ」「じゃまするつもりなんかないさ...あれ、なんか急に変な感じがしてきた...」「ボクだってお姫さまのこと好きだけど、ショーも見たいな」、といった具合です。

 

 フリップはどうやら、「お姫さまは自分のことも好きなはずなのに、ニモばかりがお姫さまと遊んだりカーニバルに出席したりというのはおかしい」と思っているようですね。一方ニモは、フリップにショーをじゃまされてもなおお姫さまと仲よくすることをつづけるか、ショーを見たいがためにお姫さまをフリップに渡すかというジレンマに陥っています(お姫さまが聞いたら怒りそう...)。

 

 そんななか、ニモとフリップの背後で、真っ赤な人物が顔をのぞかせています。3コマ目でフリップのほうに手をのばしていて、おそらくそのタイミングでフリップが奇妙な感覚に襲われています。目をとじていますので、眠ってしまった(というか眠りの国から目覚めてしまった)のでしょう。

 

 4コマ目でフリップは、いすといっしょに床の下に沈みはじめ、ニモのほうはいすごと空中に浮かびだしました。ニモは目をとじるフリップを見下ろしながら、「ぐっすり起きてる!」と、眠りの国ならではの言葉を使って驚いています。赤い人も次のコマで「起きろ起きろ!」と言ってますね。彼は催眠術師のようです。

 

 ニモはぐんぐん上昇をつづけ、上の階に出てみたら、そこは王様のとなりでした。王様は「カーニバルをはじめよう、世界中から来たこどもたちとともに」と、カーニバルの開始を高らかに宣言します。お姫さまは「ニモは来たし、フリップはいなくなったし、うれしいわ」と言ってますが、うーん、わたしはフリップもまぜてやったらいいのにと思うのですが。イエロー・キッドよりはマシですよ。

 

 このコマにはいろいろな国旗が描かれています。ちょっとわからないものもありますが、米・英・仏の旗が確認できます。フランスのとなりの、黒・白・赤の横帯が並んでいるのはドイツ帝国のものらしいです。イタリアの旗は...どっちだろう。右下の、赤い三角に白い星の入った旗はキューバですね。それから、右上には(たぶん)清朝の旗と、旭日旗が並んでいます。アジアから出席しているこどもの姿を見てみたいところです。