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いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

レアビットとウォータースケート

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 1905年7月5日『ニューヨーク・イブニング・テレグラム』の「レアビット狂の夢」です。

 

 「3時間でリザード岬まで行けるはずだ。このウォータースケートがうまく機能すればいいね」「うまくいくことを願っていますよ、がんばって!」と、男たちが会話をしています。ウォータースケートなる靴をはいて、海のうえを走っていこうとしていますね。目的地はリザード岬、グレートブリテン島の最南端で、ニューヨークから5000キロ以上あります。飛行機でも6時間はかかる場所です。

 

 「さあ、号砲を鳴らせ、準備はできているぞ。ロンドンに着いたら電報を送るよ」と、水着の男がクラウチングスタートの体勢をとっています。ウォータースケートは舟みたいな形をしてますが、はたしてどのように走るのか。応援の男は「チーズを勝ちとれるといいですね」と言ってますが、賞品でしょうかね。

 

 3コマ目で BOOOOM という音とともに、男がスタートしました。「皇帝ビルはもうひとりのアメリカ人にトロフィーを手渡すことになるだろう。おいしいチーズをね」。うーん、意味がわからない。当時のドイツ皇帝・ヴィルヘルム2世のことなのか、それとも11世紀イギリスのウィリアム1世のことだったりするのか、うーむ。

 

 4コマ目、順調にとばしているランナーに向かって、海上警備と思しき人が「おい! このコースに入ってはいかん、戻れ!」と大声をあげています。しかしランナーはその声に耳を貸さず、チーズを求めて走りつづけます。すると5コマ目で、サメに遭遇します。「一体あれはなんだ? サメか?」。

 

 次のコマではサメにくわえて、巨大なウミヘビが海から顔をだしています。空を飛んでいるのはカジキかな。ランナーは「なんとかしないとマズいな」と、状況の厳しさを認識していますね。

 

 7コマ目にはクジラも出てきました。サメやカジキの数は増え、ウミヘビは逃げるランナーをいち早く追いかけています。で、結局逃げ切れず、ランナーは「息が! 死んじまう!」と、怪物たちによって海に沈められてしまいます。こわい。

 

 ところで、このランナーの目的地であったリザード岬(Lizard Point)ですが、リザード(トカゲ)的ななにかがこの岬にあるのかと思いきや、この岬があるコーンウォール地方の言葉 Lys Ardh(high court という意味)に由来するということです(The Lizard - Wikipedia, the free encyclopedia)。マンガのなかの怪物とは無関係みたいですね。ただこのあたりは、蛇紋岩(serpentinite)という岩石が多く含まれる地質らしく、偶然の一致とはいえすごいです。