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いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

リトル・ニモと北極の螺旋階段

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 1907年3月3日『ニューヨーク・ヘラルド』の「眠りの国のリトル・ニモ」です。

 

 前回、ニモたちがジャック・フロストに謁見する直前、フリップが行方をくらましてしまいました。なので今回、フリップが再登場しているかどうかをまず確認してみましたが、どうやらフリップはいませんね。どこにいったんだろう。

 

 ニモたちは円形の部屋に立っています。部屋のまんなかに氷の柱があって、周囲を螺旋階段が巻いてます。従者によれば「あれは北極です、あそこから雪と風が吹き出すのですよ。高さ1000フィートあります」。

 

 一行は北極の根元までやってきます。すでに人が待っていました。従者が「フローズン・フェイス様、いまは北極の頂上までいっても大丈夫な時間ですか?」と聞いています。フローズン・フェイスという名は「凍りついた顔つき」といった意味合いでしょうが、もしかしたらこの人、顔がこわばっているのかな。かれは「時計が凍ってしまっているが、おそらく大丈夫だろう。あまり長くいてはいけないぞ、雪が吹き出すからな」と答えています。

 

 ニモとお姫さまは螺旋階段をのぼっていきます(3コマ目)。下から従者が「べつのフローズン・フェイス様が頂上で待っているはずです」と声をかけ、となりのフローズン・フェイスは「雪が吹き出しはじめたらすぐにもどるんだ、さもないと凍ってしまう」と注意しています。氷の階段を急いでもどってくるのは難しそうですね。

 

 4コマ目、お姫さまはさっそく「この階段、すごくすべるわね。気をつけないと落ちちゃうわ」と、この階段の難しさについて言ってます。ニモは「あの人の時計、凍ってなかったらよかったのに」と愚痴をこぼしてますね。たしかにね。

 

 それにしても、高さ1000フィート(約300メートル)を階段でのぼるって相当しんどいですね。夢の世界では疲れないのかな。...とか思いながら5コマ目を見てみると「キツいのぼりね、ニモ」「そうだね、それにめまいがしてきたよ、1000フィートって言ってたっけ? 1000段?」と会話していて、やっぱりつらいようです。

 

 それでもふたりは(お姫さまがてきとうに「1000段だと思うわ」とか言いつつ)がんばってのぼり、6コマ目で頂上が見えてきました。で、7コマ目、北極の柱を見ると、大きな管が四つ突き出ています。フローズン・フェイスによる説明はこうです、「上のパイプからは水が、下のパイプからは冷たい風が吹き出し、水が凍って雪になるのです」。

 

 するとまもなく、そのシステムが作動しはじめました。「わあ! はじまっちゃったよ! 急いで下りるんだ、凍ってしまうぞ、下りろ下りろ!」とフローズン・フェイスは慌てています。しかし、急がなければならないとはいえ、階段は氷でできているわけですので、じつに危ない場所です。フローズン・フェイスは「走れば落ちて死んでしまうし、ゆっくりだとぜったい凍る」などと、どうすりゃいいんだ的なことを言って、ニモとお姫さまをうしろから急き立てます。雪はどんどんコマを埋め尽くしていきますね。

 

 ニモは「わわわ、これは困ったことになった」と、お姫さまは「すべらないようにね、ゆっくり、でも急いで!」と言いながら、階段を下りていきます。ふたりとも、パニックになりそうなところをなんとかこらえているようです。次のコマでは「なんであの人たちは凍らない時計をもたないのかなあ」とニモがちょっと怒っているようですね。無理もない。

 

 雪は降り続けます。12コマ目、いよいよ視界が悪くなり、ニモは「帰れないかもしれない...ここが家だったらなあ」とだいぶ弱気になってますね。お姫さまも「なにも見えないわ! わたしたち、雪の下に埋もれてしまわないといいけれど」と、かなり不安を感じているみたいです。このコマは雪の粒がかなり細かく描かれていて、階段とそうでない部分との境目がわかりにくくなっています。

 

 個人的には、コマのなかがすべて真っ白に覆われて、ふたりがホワイトアウトによる極度の不安を感じるところを見てみたかった。ただ、このエピソードは後半、「落下か凍結か」という二者択一が与えられていて、結局そのどちらでもない展開になったところはおもしろいなと思います。