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いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

リトル・ニモと閲兵

眠りの国のリトル・ニモ

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 1907年4月14日『ニューヨーク・ヘラルド』の「眠りの国のリトル・ニモ」です。

 

 眠りの国の海軍に救助されたニモたちは、軍艦のデッキに立ちました。フリップは「こりゃあよさそうだ」と立派な船に満足そうです。お姫さまは船員から挨拶を受けています。「お姫さま、わが司令官に代わりまして、あなたがたを歓迎いたします。海賊から逃れられたこと、喜ばしく思います」。ニモもべつの船員から挨拶されていますが、ニモは沈みゆく海賊船をながめているみたいです。

 

 一行は船員にうながされ、階段を上がっていきます。船員はうしろから「海賊どもの残した船を始末いたします、その後、みなさまには着替えていただきます、閲兵がありますので」と、三人に今後の段取りを説明していますが、フリップは「オレの宝物を安全な場所に置いておくんだぞ」とあまり聞いておらず、お姫さまも「軍艦に乗ったことある、ニモ?」とおしゃべりです。ニモは浮かない顔をしているように見えます。海賊船が気になるのでしょうか。

 

 3コマ目、ニモたちは砲台のまえに来ました。船員によれば「これで海賊船の残骸を粉砕します」だそうです。フリップも「おもしろそうだぜ」と、大砲ショーを楽しみにしています。砲撃手も誇らしげな表情を浮かべていますね。

 

 フリップは司令官気取りで「よし、撃て」と言います。それを合図にしていたわけではないでしょうが、船員も「用意できたぞ、そっちも準備できたのなら撃ってかまわない、ご一行はこちらにいらっしゃる」とべつの海兵に呼びかけています。

 

 すると大砲は火をふき、煙をあげました。と同時に、遠景に見える海賊船が大破しています。これは...ニモたちが海賊船にいたときの砲撃とはくらべものにならないほどの破壊力ですね。前回の砲弾は、船に穴をあけはしましたが、船が沈没するほどの威力ではなかったのに、今回はたった二発で船が粉々です。となると、手加減してたんですね。しかし海賊たちがどうなったのかについてはなにもわかりません。

 

 砲撃のパワーはニモたちにもびしばし伝わっています。ニモの兜は落ち、ニモも手すりをつかむことでからだを支えています。ひざも曲げている。お姫さまは耳をおさえています、よほどの轟音だったのでしょう。フリップも王冠が外れ、デッキにあおむけに倒れかかっています。船員があわてて「砲撃のときに気をつけるよう言うのを忘れておりました...では閲兵にまいりましょう」と走り寄っています。

 

 6コマ目、三人はすでに着替え終わっています。お姫さまがもってるのは、パラソルでしょうか。天気がよくて日差しが強そうですからね。

 

 デッキの縁のほうには海兵たちがならび、三人がそのまえを歩いています。フリップはえらそうに「みな立派な若者たちだよ、すばらしい! きみたちは勝者だ、疑うべくもない。さあ、みな仕事にかかれ、出航だ!」と声をかけ、海兵たちにニヤニヤされていますね。でもまあ、海兵たちもうれしいんじゃないかな。ニモみたいになにも言わないよりは、フリップのように(形だけでも)ねぎらいのことばがあったほうがいいですよね。

 

 というか、ニモはつまらないのか、あるいは疲れているのかもしれませんね。ここのところぜんぜんしゃべってないんですよね。海賊船の宝の部屋で、戦士の格好に着替えたときに「似合う?」ってしゃべったのが最後です。そっからはずっと流れに身をまかせている状態です。

 

 「わが船員たちよ、モルフェウス王のご息女、眠りの国の姫君である! また、ご友人のニモとフリップもおられる。この船は航海中、ホンガラン諸島(the Hongallan Islands)まで、姫君たちに仕えることになる!」と、船長が言ってます。新たな目的地の名前が出ました。どんなところでしょうね。