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いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

レアビットとハエ取り紙

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 1905年9月9日『ニューヨーク・イブニング・テレグラム』の「レアビット狂の夢」です。

 

 「彼女、2分で準備できるって言ってたな。今夜は劇場に行って、彼女にプロポーズだ。やってみせるぞ。ちょっとすわって待っていよう」。男が女性を待っているところですね。プロポーズするつもりで、気合いが入っています。男が腰かけようとするいすは、画面左側にあり、座面に紙が一枚あるようです。

 

 男はそれに気づかずすわり、また立ち上がると、おしりにその紙がくっついてしまいました。「くそ! なんだよもう! なんでいすにハエ取り紙が! ひどいよ!」といらだっています。ハエ取り紙だったか...おしりにくっついているから、のりでもついてるのかと思ってましたが、ハエ取り紙とはかなり強力なのりですね。

 

 男はおしりをこちらに向けず、テーブルにひじをかけて「あんまり見えないとは思うが、でも今夜、大丈夫かなあ。ともかく待とう」と、どうやらハエ取り紙をつけたままプロポーズに行くつもりです。どうしてもこの服じゃないとダメなんですかね。たしかにりっぱな服のようですが...。

 

 すると、男のからだを支えていたひじに、またしても紙がくっついてしまいました。「いやになるよもう! ここにもべったべたのハエ取り紙が!」。

 

 男は今度はハンモックに横たわり、「ここで待とう。ハンモックにはなにもないだろう、たぶん」とつぶやいていますが、次のコマで男が立ち上がると、背中に何枚もハエ取り紙をくっつけています。

 

 男は「ちくしょう! そうか、これはゲームだ」と、この災難をなんとか前向きにとらえようとしてるようですね。7コマ目では落ち着きをとりもどしたようです。すごいな。男は窓の外を見つめながら「そうだ、ゲームなんだ、彼女が来たらきちんと呼びかけよう。あっ、彼女が外にいるぞ」と、動じずにやるべきことをやるのだと自らに言い聞かせていて、そんななか彼女の存在に気づいた様子です。

 

 「こんな格好になってしまったが、ゲーム続行だ! 彼女がぼくをからかうはずはないさ、彼女に伝えるんだ...」。男はテーブルの帽子を手にとりつつ、玄関先へむかうところです。はたしてこの男はゲームをうまくまとめることができるのか。

 

 男はからだじゅうにハエ取り紙をくっつけたまま、女性を出迎えます。ところが「やめだやめだ! 引き分け(quits)!」と、ゲームを下りることを宣言しています。おそらく、直前に手にとった帽子にハエ取り紙がくっついてしまったことで、我慢の限界に達したのでしょう。

 

 女性としては「引き分け」と言われてもわけがわかりません。しかも男はからだじゅうにハエ取り紙をくっつけている。女性が「あなたには後見人が必要ね、とんでもないバカだわ」というのも無理はないでしょう。