読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

レアビットとスピーチの練習

レアビット狂の夢

f:id:miurak38:20160810163901p:plain

 1905年9月20日『ニューヨーク・イブニング・テレグラム』の「レアビット狂の夢」です。

 

 「なんだこれは...」と、男が紙を手にしています。手紙でしょうか。制服をきたこどもがそばに立っていて、おそらく彼がこの手紙をもってきたのでしょう。

 

 男は手紙を読みます。「閣下、あなたから説明していただければ、わたしたちの主張は力を得ることと思います。すぐにお越しください、ジョーンズはわたしたちの委員長を追放してしまいました、どうかすぐに。委員会より」。

 

 なんか、状況がよく飲み込めませんが、ともかく緊迫してるみたいですね。手紙を読む男はなにかの委員会の側の人間で、かれらの敵にはジョーンズという人がいて、どうやらいまはジョーンズが攻勢に出ている。

 

 手紙をもらった男は外出の準備をしはじめました。「ジョーンズだと? 争いがはじまったか。よし、わたしが行ってスピーチしよう、みな活気づくはずだ。ジョーンズはわたしが欠席だと思っているだろうから...」。かっこいい役回りですね。ジョーンズに一泡ふかせようという魂胆です。

 

  セリフがつづきます。「...やつは自分が支配者だと思っているはずだ。わたしは話をうまくつくらないといけないな」。男は歩きながら、スピーチの内容を考えはじめます。「委員会のみなさん、わたしがここに呼ばれ、このような遅い時間にやってきましたのは、ただひとこと申し上げるためです。みなさんのなかに、人の形をした化け物がいるようだ。その名はジョーンズ。わたしは彼について話をしよう...」。

 

 男のスピーチの練習では身ぶりも交えられていて、4コマ目では指をさされた男が怪訝な表情をうかべています。次の5コマ目では「見てください! 彼が見えますか? どうです?」と男がしゃべるものだから、周囲の人間は「だれのことだろう...」と男の手の先を注目しています。

 

 6コマ目でもべつの歩行者が「わたしのことか?」といぶかっています。演説者は熱が入ってきて、「おまえは卑怯者だ! 恥知らずめ! そら、その卑しい頭をみせてみろ。みなさん! そこの彼ですよ!」と、まるですでにスピーチ本番かのようです。

 

 スピーチはなおもつづきます。「こんなひどい悪党はみたことがない。赤ん坊からおしゃぶりを、老婆から杖を盗むようなやつだ、あるいは盲人から...」。ジョーンズがいかに悪い男であるかを、比喩をいくつも使って表現しようとしていますね。

 

 で、これをしゃべっている際、男は警官のまえを横切っていることにも気づいていません。それどころか、練習に夢中になりすぎて、自らの杖をふりまわし、警官を殴打してしまいました。

 

 公務執行妨害ということで、警官は男を叩き返します。男は「うわ! だれだ殴ったのは?」と叫びますが、もしかしたらまだ、自分が演壇に立っている妄想から抜け出していないのかも。委員会の会場にはたどりつけそうもなく、どうやら今後はジョーンズが委員会を牛耳ることになりそうです。