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いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

リトル・ニモと蛇のエレベーター

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 1907年6月2日『ニューヨーク・ヘラルド』の「眠りの国のリトル・ニモ」です。

 

 1〜4コマ目、縦長のコマがつづいています。コマのなかにはいずれも背の高い木が描かれていて、縦長のコマがこの木の直立を強調しています。

 

 1コマ目、木の上につくられている家屋を、ニモたちが下から見上げています。フリップは「ジャングルにも摩天楼はあったか」と驚いている様子で、族長は「あれは君たちの住まいだ、ここにいる間のね。さあ、ついてくるんだ!」と言って、ニモたちをどこかへ案内するつもりです。

 

 かれらはこの木の根元へとやってきました。地面の上には大きな円盤がおいてあり、ニモたちがその上に乗っています。フリップが「これはどんなエレベーターなんだ? こんなのはじめてだな」と言ってるので、どうやらエレベーターのようです。族長は「上に行って盛装してくれるかい、これから歓迎会をやるからね。落ちるなよ!」と言ってます。ニモたちの宿泊する部屋に、歓迎会用の服装が用意してあるようですね。

 

 エレベーターが上がりはじめると、動力が大蛇であることがわかります。蛇は頭を円盤の裏に据えつけられ、ちょっとかわいそうですが、仕事だと思って割り切ってるんでしょうか。フリップが「こういうエレベーターが一基ほしいなあ」と感心しています。

 

 族長は、エレベーターで上がっていくニモたちに「女性がふたり手伝ってくれるから!」と呼びかけていて、4コマ目にくると族長よりさらに色の黒いひとがふたり待っていました。上半身は裸のはずですが、乳房は描かれてませんね...。そういうところはリアルには描かないようです。お手伝いさんのうちひとりが「まあ、かわいらしいこと! さ、なかに入ってパーティー用の服に着替えてください」と話しかけています。フリップは「女性がふたりだって?」となかなか失礼なことをつぶやいてますね。乳房が見えないからでしょうか。

 

 そんなわけで5コマ目、ニモたちは盛装し、エレベーターを下りてきました。白い腰みのに白い靴、それと首飾りなどの装飾品をまとっているほかは、ニモたちも(お姫さまも!)裸です。なぜか肌が浅黒くなっていますが、塗ったのかもしれません。フリップは髪の毛を赤い髪どめで束ねていて、目鼻立ちが現地のひとびととそっくりになりました。これもメイクかもしれない。

 

 「おまえらがこのことどう思ってるかわかんねえけどよ、オレはこれ、ジョークなんじゃないかと思うぜ。あいつらオレたちのこと笑いものにしてるのさ」「わたしはこの格好、あんまり好きじゃないわ」と、フリップとお姫さまはあまりうれしそうではありません。しかしニモは「え、ボクは平気だけど。見てあれ楽しそう! 行こうよ!」と、ふたりより乗り気です。めずらしいですね、ニモがいちばん活気があるなんて。

 

 ニモたちが地上に降り立つと、島民たちがニモたちのまわりを踊りながら回りだしました。かれらは手に槍と盾をもっていて、身を屈めたりのけぞったりと、楽しそうにしています。歓迎の舞いですね。

 

 「オレも槍と盾がほしいな。おい! おまえ! 槍もってこい!」「フリップが槍をもってこさせようとしてるわ! なにかトラブルを引き起こすんじゃないかしら、不安ね」「え、そうかな、ボクにも一本ほしいな!」。ニモはいったいどうしてしまったんだ。なにかこう、島民たちの舞いのリズムに血湧き肉躍ってしまったようです。

 

 夢のなかでの興奮は、ニモをすぐに覚醒させてしまいました。「ボク起きたよ、ママ、起きた。起きるように言ったでしょ?」。しかしママは「ちがうわよ! ベッドに入るように言ったのよ、うろうろしないの!」と、さっさと寝るようニモに言っています。「早く起きなさい」と言われることの多いニモですが、こういう日もあります。