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いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

リトル・ニモとフリップの爆竹

眠りの国のリトル・ニモ

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 1907年6月30日『ニューヨーク・ヘラルド』の「眠りの国のリトル・ニモ」です。

 

 族長が運転する車は、前回、ニモたちをのせて険しい山々をのぼったりおりたり(落ちたり)してましたが、今回はまたジャングルにもどってきました。ニモとお姫さまは「ジャングルにもどってこれてよかった」「わたしもよ」と、スリリングすぎるダウンヒルを終えてほっとしているようです。

 

 フリップは「動物たちは車が好きじゃなさそうだな」と、逃げまどう動物たちを見ながらつぶやきます。あたりには、トラ、カンガルー、サル、ゾウ、ライオンがいて、車をにらみながらもあわてて立ち去ろうとしています。

 

 おなじ動物どうしが群れておらず、それぞれ一体ずつこのあたりにいたんでしょうかね。平和なジャングルですね。あるいはもしかしたら、ニモたちがジャングルを駆け抜けているかなり距離がかなり長く、その道中こんな動物たちがいましたよということを一コマで凝縮してるのかな。象徴的な用法というか。

 

 いや、ちがった。単に、一体ずついたんですね。ニモが2コマ目で、うしろを振り向きながら「あの動物たちがこっちにきてるよ!」と言ってますから。フリップが「あいつらめちゃくちゃ怒ってるぞ!」と言ってますので、動物たちは興奮して車のあとを追ってきているようです。

 

 車はジャングルをぬけ、砂浜にやってきました。族長の真剣な表情がいいですね。そんな族長に、フリップが「すこしスピードをおとしてくれ、あいつら驚かせてやるからさ」と声をかけます。なにか考えがあるのでしょう。

 

 4コマ目、視点が変わり、コマに描かれているのは車のうしろ側です。と同時に海も見えました。フリップは「7月4日あたりにはいつも持ち歩いてるのさ」と言って、爆竹(というか爆弾?)に火をつけました。お姫さまは「あなたそれどこからもってきたのよ?」と読者の疑問をぶつけてくれています。ニモは「動物たちがおいつきそうだよ! いそいで!」と言ってます。爆発物のことは疑問に思ってるけど、まずは動物たちから逃げなくちゃということでしょう。

 

 フリップは爆竹を放り投げます。「これでもくらえ! ジャングルに帰るんだな」。動物たちは、なかよくおなじポーズで、密集しながら走ってきていました。かれらの頭上に飛んできた爆発物にはまだ気づいていない。

 

 次の瞬間、爆発が起こり、動物たちは四方にふきとばされました。カンガルーの周囲に、爆発の衝撃を示す直線が放射状に引かれています。ゾウの巨体がひっくり返るほどのものを持ち歩くのも、暴力的な問題解決も、あまり感心しませんが、とりあえず危機は脱したようです。

 

 車は画面左奥へと遠ざかり、その先には海軍の船員や島民とおぼしきひとたちが待っています。海には軍艦もいますね。この6コマ目は、車が左に遠ざかっているのが、ニモが夢の世界から遠ざかって右下の現実にもどってきている感じがしておもしろいです。