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いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

レアビットとレストランと捨てられた犬

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 1905年11月29日『ニューヨーク・イブニング・テレグラム』の「レアビット狂の夢」です。

 

 「そば粉のパンケーキとフランクフルトソーセージをたのむ。あとジャワコーヒー。ソーセージは炒めてくれ」「かしこまりました」。レストランの客とウェイターですね。これ書いてるわたしがお腹すいてきました。

 

 客の男は空腹のせいか、すこしいらだっています。「まったくいやになるよ! なぜみんなわたしの名前のつづりをまちがえるのか。だれかがまちがった名前を伝えたのかな」。

 

 名前のつづりをまちがえられるといえば、作者のウィンザー・マッケイですね。正しくは Winsor McCay ですが、Windsor とか McKay とか書かれますので。

 

 あと、まったくどうでもいいことですが、わたしの名前もよく書きまちがえられます。正しくは「知志」ですが、「和志」と書かれることはしょっちゅうです。しかし「いやになるよ!」と思ったことは一度もなく、今回のエピソードの主人公はちょっとイライラしすぎなのではないかと思います。空腹だからかな。

 

 ウェイターが料理をもってきましたが、客の男は新聞を読みふけっています。「ほう! スワインガーテンがゆうべ結婚したのか。あいつ、いい気味だな。今朝のニュースはおもしろくないな、社交界はつまらなくなったにちがいない」。テーブルにおかれた料理にはあまり興味を示していないですね。こういう、食卓につきながら料理に見向きもせず新聞を読むというビジネスマンっぽさ(?)の表象は、やはり新聞の誕生とともに現われたんでしょうか。

 

 4コマ目、テーブルのうえにかわいいものが見えます。子犬ですね。客も気づきました。「おいおい! ウェイター! なんだこりゃ? ソーセージなのか? なんなんだよこのレストランは」。子犬はよく見るとしっぽをふってますね。

 

 「おい! ウェイターちょっと来い! なに出してるんだよ! これ見ろよおい!」。客はめちゃくちゃ怒ってます。テーブルのうえの子犬はしっぽをふって、舌を出していますね。で、そこで客の料理を食べてしまったのか、6コマ目ではだいぶ大きくなっています。

 

 「これがわたしの朝食なのか? どういうつもりなんだ?」「シェフがわたしにこれを渡したのです、お下げいたします」。ウェイターも困惑していますね。犬はウェイターに吠えています。下げられたくないということでしょうか。この犬は客のことが好きなのか。

 

 客は店を出ます。と同時に店は犬を追い出します。「追い出すのかい。わたしも帰るがね...」。犬は客の男についてきますが、男は「しっ! しっ! あっちいけ! あっちいけよ!」と追い払います。でも犬は、男のもとをぜんぜん離れようとしません。

 

 男は「うせろってんだよ! この野良犬め!」とかいいながら、なにか投げつけはじめました。ごみくずでしょうか、犬の周囲に舞っています。すると犬が「アタシのこともう愛してないの?」と問いかけてるじゃないか。え、かなしい。

 

 ...というかこの犬は、こんなイライラしてる男のなにがよかったのか。好きになるポイントはこのエピソードには見えませんが。もしかしたら犬は「料理をくれた」と思っているのかな。いずれにせよ、この話が最後に恋人の別れみたいな感じになるとは予想できませんでした。