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いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

リトル・ニモとダイヤモンドの洞窟(No.300)

眠りの国のリトル・ニモ

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 1907年10月27日『ニューヨーク・ヘラルド』の「眠りの国のリトル・ニモ」です。

 

 縦に細長いコマがならんでいて、7コマ目までおなじ形ですね。そしてだんだんとコマがまぶしくなっていきます。この白い背景はなんなんでしょうか。

 

 一行はライオンにまたがり洞窟に入ってきました。人ひとりがようやく通れる細い道で、洞窟の壁面は切り立っています。天井が高そうですね。岩肌の輪郭線や色は微妙に変化していて、洞窟の左側の壁面と右側の壁面との区別がわかるようになっています。かれらが通っている道は蛇行しているようです。

 

 「おれたちどこに向かってるんだろうな」「引き返したほうがいいかな?」。フリップとニモは不安を感じながらも、先頭を行くインプについていきます。インプもなにかしゃべっているのですが、「キ・ロウ・ソング・ゴ・イプ・ムンプ・ソプ」といった具合で、ニモやフリップには意味がわかりません。

 

 ニモは「君の言うことを信じるよ!」と、ライオンを手なずけたインプの手腕を買っているのか、インプを信頼しています。フリップはというと「アメリカの言葉を話してくれればわかるのにさ」と不満をこぼしてますね。読者の多くもそう思っているのではないでしょうか。わたしもそう思います。というか、インプの言葉を解読できたりしないものか...という気にさえなっています。

 

 ところで一行は画面の手前から奥へと向かっていますが、道が蛇行していて、ひとつひとつのコマでは三人のならび方がすこし斜めになっています。そのため、ふきだしの配置も斜めになり、そこに左右の関係がうまれますので、発言の順番が決まります。1コマ目はフリップから、2コマ目はインプから...という具合ですね。コマによって会話をはじめるキャラクターが異なるので、会話が単調でないですね。

 

 フリップとニモが「ライオンがあいつになにか言ってたよな」「インプはきっとわかってるよ」とかおしゃべりしながら歩いていると、洞窟の壁面がしだいに明るい色になっています。3コマ目で白、4コマ目で金色という、なにか高貴な雰囲気になってきました。ニモは「宮殿につれていってくれるんじゃないかな」と期待しはじめます。フリップも「だんだんきれいになってきたぞ...」と、雰囲気のちがいに気づいています。

 

 そして5コマ目、背景はまぶしすぎるほどです。壁面をよく見ると、青みがかった線がダイヤモンドのブリリアントカットを描いています。「これ本物のダイヤモンドかな、偽物なんじゃないか?」「うわあ! すごい景色だね、ぜんぶダイヤモンドだよ!」。

 

 次のコマもダイヤモンドです。ニモとフリップのおしゃべりもつづきます。「本物かどうかってどうすればわかるの?」「ガラスに傷をつけてみるのさ」。すると7コマ目、インプがライオンから降りてニモたちになにか教えていますね。「なんだこりゃ?」「降りろって言ってるんだよ!」。この、黄緑色の壁はいったい何でしょうね。またインプの背後には煙のようなものが上がっています。

 

 次のコマを見て判断するに、どうやらこれは滝ですね。煙じゃなく水しぶきか。滝はニモたちの目の前で川になっていて、ライオンたちは頭を川に落として水を飲んでいます。

 

 川の向こう側にはダイヤモンドの壁が立ち、その真ん中に洞窟の入口が見えます。その入口までは飛び石がつづいていて、入口まで行けそうですね。インプも扉を指さしています。しかしフリップは「あいつはどうするつもりなんだ? おれは疲れてきたぜ!」と、目的地も意図もわからないままつれていかれることに苛立ちはじめました。

 

 ニモはそうでもないですね。「川を渡って入口まで行こうってことだよ」と楽しんでいるようです。ニモはインプの言動を積極的に理解しようとしています。なんというか、旅に対して積極的ですね。プリンセスがいっしょだったときとは大ちがいです。お客様と冒険者のちがいと言うべきか。

 

 そういえば...いま気づいたんですが、ニモたちはいつのまにか元のサイズに戻っていますね。前回、カラフルな崖をのぼっているうちに戻ったんですねきっと。ぜんぜん気づかなかった。