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いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

リトル・ニモと腹ぺこ

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 1907年11月17日『ニューヨーク・ヘラルド』の「眠りの国のリトル・ニモ」です。

 

 「兵士たちはニモの居場所についてなんの手がかりも発見できずにおります、モルフェウス王」。兵士たちの上官らしき男が王様に報告しています。

 

 王様は「なんだと! もういちど行ってくるのだ、全員に探させるのだぞ。すぐにニモをつれてこないと、おまえたちがひどい思いをすることになるんだからな」と、かれを脅してます。まあ、そばで娘に泣かれてますからね、パパもそりゃ慌てるでしょう。

 

 「わしにはもうできることがないぞ」とドクター・ピル。万策尽きた感があります。右はじでは家来が「軍隊は赤いテープ(=お役所仕事)すぎるんだよなあ」「赤いテープどころか金のレースだよあれは」と軍批判ですね。お役所仕事のことを red tape というんですね、知らなかった。公文書を赤いテープでとじるという慣習に由来するそうです。

 

 さて、行方不明のニモたちは、洞窟内でダイヤモンドの女王に誘われ、クリスタルの間にやってきたのでした。2〜5コマ目、はてしなく奥へとつづく廊下がならんでいて、画面手前で三人が立ち話です。

 

 「もうなにもできねえよ、パンプキンパイが食いてえ」「ぼくも! おなかがすいたなあ」「いまなら犬でもラバでも食えるんじゃねえか」「こんなにおなかがすいたのはじめてだよ」「どうする? ここで飢死にするか、進みつづけるか」「進もうよ、死にたくないよフリップ」「この柱、食えないかな」「もう歩けないよ! へとへとだ」。

 

 5コマ目のニモはほおがこけています。三人のからだもすこしずつ細くなっていますね。からだがこんなに変化するほど歩いていた、ということでしょうか...いや、いま気づいたけど、これ、天井がどんどん高くなっている?

 

 2コマ目と5コマ目を見比べると、柱の高さがあきらかにちがいます。シャンデリアの描かれ方が変化しているのはわかってたけど、柱がのびているのは気づかなかった。空間が縦に引きのばされていて、それで三人の体も細くなったのか。

 

 6コマ目、とたんに場面が変わり、三人は水辺にいます。水の透明感の表現がすばらしいですね。手前にボートが一艘あり、「リトル・ニモをさがしに行っています」というメッセージが添えられています。舟守がいないわけですね、なんせ王様に「全員で探せ」と言われていますので。皮肉なものです。

 

 「はっ、こりゃいいね! もう倒れちまう、スープ一杯でいいんだ」「死んじゃうよ! なにか食べないと!」。はたしてかれらは食べ物にありつけるのでしょうか。とはいえニモは、このあと起きて朝食を食べるのでした。