いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

リトル・ニモとジャイアント・フリップ

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 1906年6月3日『ニューヨーク・ヘラルド』の「眠りの国のリトル・ニモ」です。

 

 まずは、初登場のドクター・ピル。タイトルのコマの真ん中にでーんとすわって、横たわるお姫さまの様子を見ています。脈をとっているんですかね。「ニモを連れてこないとお姫さまが衰弱してしまうぞ」と言ってます。足下には「ドクター・ピル」と書かれた黒いかばんが置かれています...「山田先生」と書かれたかばんを持ってる山田先生なんかいないと思うが...。

 

 お姫さまに仕える女性の発言も見逃せません。「リトル・ニモは第四にして最後の門を通過したようです」と言っています。どうやらこれが最後の門みたいですね。

 

 第四の門の前では、巨人たちが見つめるなか、ニモとフリップが対峙しています。フリップは第四の門を通過するべく、「おれをニモのように巨人にしろ、さもないとお前らみんな消してやるぞ(you just turn me into a giant too, like him, or I'll have you all melted)」と脅しています。彼は夜明けをもたらすおじさんを連れて来れるのでした。

 

 消されてはかなわないと思ったのか、ニモを巨人にした魔術師マイストは、フリップも巨人にします。一方マイストは、ニモをもとの姿に戻します。

 

 じつはこれはフリップをおとしいれる罠で、この第四の門は巨人にならないと通る資格がないとみなされるものの、実際に通るためには巨人のままではサイズが大きすぎてダメという、そういう門なのです。

 

 巨人たちは、床にある扉を持ち上げて、門を開きます。これを通れるのは小さなニモたちだけで、巨人のままのフリップは通ることができない。ここではじめて、ニモがフリップを追い抜き、ゴールに近づいたわけです。

 

 まあでも、狭い門からにゅっと出てくるフリップの大きな顔に、ニモはぎょっとして目を覚ましてしまいますけれど。フリップの顔は迫力があります。きらめくハイライトをもった瞳から、ニモだけでなく読者も目が離せません。目力がすごい。

 

 「覚えてろよ(I'll get even with you)」と言いながら指さすフリップの、その指もまた力があります。さらにニモは、最後のコマで「2分で着替えるんだ(I'll give you just two minutes to get up and dress in)」と言うお父さんにも指をさされてます。指をさすって、なんでこうも高圧的なんでしょうかね。