いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

リトル・ニモとまたまた夜明けの番人

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 1906年11月25日『ニューヨーク・ヘラルド』の「眠りの国のリトル・ニモ」です。

 

 前回、あわや銃殺というところでニモに助けてもらい、王国のカーニバル会場を去ったフリップですが、今回いきなり夜明けの番人と会話しています。「あいつら感謝祭のディナーなんだ、おじさんの太陽でぜんぶ溶かしてほしいんだよ」「悪い夢でも見たのか、ならわたしについてくるといい」ということで、以前にもありましたが、フリップは夜明けの番人の力でニモたちに復讐しようというところですね。

 

 2コマ目は、場面かわって宮殿内のニモとお姫さまです。「みんななんて言ってるんだろ」「みんなちがう言葉でわたしたちに挨拶してるのよ」としゃべっていて、彼らの下には三人の来賓が手をふっています。それぞれ「Umbah Umbah」「Exugh Exugh」「Ohio Ohio」と言ってますが、いちばん右のは「オハヨウ」でしょうか。なら日本人ですが、このカーニバルにはこどもたちが出席しているわけで、なんでこの日本のこどもは頭がこんなハゲてるのか...。

 

 3コマ目、再びフリップと夜明けの番人です。馬に乗りながら「あいつら世界中からこどもたちを呼んでるのさ、オレは撃たれるところだったけどね」「呼ばれてもいないところをうろつくからだろう。だけどまあ、わたしは太陽の子を満足させなくちゃならないんだろうな」と会話しています。太陽の子っていうのはフリップのことでしょうかね。いつも突然フリップに呼び出されて、夜明けの番人もご苦労なことです。かわいい甥っ子のためなら仕方ない。

 

 4コマ目の宮殿内では、さっきとおなじことをやっています。こんどは「Muza Muyai」「Click Gyioa」「Ahyau Ahyau」といった感じで、やはり読者にも意味がわからない言葉を発しています。挨拶してるんだなってことくらいはわかりますが。

 

 ニモは「ありがとう! ボクもすぐにみなさんのところに行きます、そしてみんなで感謝祭を楽しみましょう」と、ディナーでの異文化交流を心待ちにしている様子です。お姫さまは「フリップがいなくなってほんとうによかったわ、迷惑だったから」と安心していて、いまここにフリップが夜明けの番人をつれてやってきているなど夢にも思っていません。

 

 5コマ目は太陽のまばゆい光に照らされて、ニモを除くすべてが見えづらくなっています。ニモにもこう見えるんでしょうね。巨大なカメが二匹、調理された七面鳥を引いてやってきていますが、日光を浴びてくやしそうに口を開けています。お姫さまは「太陽が! フリップの仕業ね! なんて油断ならないのかしら」と、こちらもくやしそうです。

 

 さっき日本のこどもがそういえば「オハヨウオハヨウ」と言ってましたね。ニモはその言葉を理解できていませんでしたが、じつは朝が近づいていたわけです。