いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

リトル・ニモと魔法の杖

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 1908年3月29日『ニューヨーク・ヘラルド』の「眠りの国のリトル・ニモ」です。

 

 ニモがやってきた街は、ひび割れの壁と割れた窓ガラスの建物ばかりで、街灯も傾いていて、すごく貧しい雰囲気のところです。ニモも言うように「ぜんぶおんぼろ」です。

 

 するととつぜん、ニモの頭上から妖精みたいなのがあらわれ、ニモに魔法の杖を授けます。「願いが叶うのよ。持っていきなさい」だそうです。そんなことよりニモをプリンセスのところに連れていってあげればいいのに...。というかニモはその杖で「プリンセスに会えますように」とお願いすればいいんじゃないか!

 

 でもニモはそうせず、この街をぶらぶら歩きます。そして、4コマ目で痩せこけた子どもに出会うと、子どもに杖をかざして「かわいい帽子とドレスがいい!」と言って、子どもの身なりをきれいにしてあげます。

 

 ニモはそうやって、出会う子どもたちをみな着飾っていきます。しかも衣服をきれいにするだけでなく、7コマ目に登場する盲の子どもの目を治したり、8コマ目の片足の少年を松葉杖いらずにしてあげたりと、魔法使いのような働きをします。

 

 貧民街の人心をつかんだニモは自信たっぷりです。「ぼくはリトル・ニモ! ぼくについてきて、そうすればみんな幸せになれるよ! ここをパラダイスに変えてみせる!」

 

 そんなステキな夢をみたニモですが、目覚めとともに隣の部屋から「起きなさい、ニモ! エイプリルフールよ!」と声が聞こえてきます...。そうか4月1日が近かった...。ちょっとこれ、マッケイ性格悪くないですか?