いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

イエロー・キッドとテニス大会

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 1896年8月30日『ニューヨーク・ワールド』の「イエロー・キッド」です。

 

 まあいつものようにこどもたちが密集してますが、どうやらテニス大会ということのようです。ネットが張られていますね。漁で使う網でしょうか。錨で固定されています。

 

 イエロー・キッドたちの行動原則のひとつに「大人のまねごと」というポイントがあり、今回のテニスもそうですね。テニスは基本的には、お金と時間のある階級の人たちの楽しみだったと思います。

 

 テニス的な球技はだいぶ昔からあったようです。高校のとき世界史で、フランス革命時の「テニスコートの誓い」ってのを習いましたが、教科書に載ってた絵にはたくさんの人が室内で誓い合っているところが描かれていて、え、部屋のなかでテニスすんの? と思っていました。当時は屋内競技だったんですね。

 

 いまのテニスは19世紀後半にはじまったもので、そのときからテニスは芝生の上のスポーツとなりました。それ以前のテニスと区別して、新しいテニスは「ローンテニス(lawn tennis:芝生のテニス)」と呼ばれます。上のマンガでもたしかにそう書かれています。

 

 ただ、立派な芝生がホーガン横丁にあるとは思えません。いちおう緑色の地面ですが、手入れされてない草むらでしょうね。これの掲載日が真夏ですから、雑草が生い茂ってるかもなあと思います。

 

 テニス大会の内容は壮絶なもので、ボールがいくつも飛び交い、痛い目にあっているこどもが何人もいます。イエロー・キッドも顔に絆創膏を貼っています。寝巻きには「もうやめるよ、ルールなんかありゃしないんだから(I'm goin to quit, Dey aint no system in dis game)」と書いてありますね。ラケットをかんじきみたいにして履いているイエロー・キッドにそう言う資格があるのかどうか微妙ですけれども。

 

 競技場の上のほうにもこどもたちがたくさんいます。大きな帽子をかぶった女の子が、男の子に口説かれているようです。大きな帽子の子はこれまで何度も登場していますね。イエロー・キッドのガールフレンド・リズとともに、気になる女の子です。