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いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

リトル・ニモとかれを呼ぶ声

眠りの国のリトル・ニモ

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 1907年9月15日『ニューヨーク・ヘラルド』の「眠りの国のリトル・ニモ」です。

 

 前回、ニモとフリップとジャングル・インプは、お姫さまたちと別れて行動をとるようになりました。モルフェウス王に会うつもりが、インプがじゃまばかりしてなかなかかなわず、お姫さまが泣き出してしまったので、ニモとフリップが気を利かせて「会って来なよ、待ってるから」とお姫さまを送り出したのでした。

 

 その後かれらは、宮殿の柱が立ちならぶ場所で待っていると、いつのまにかあたりが森になっていて、木々のむこうから赤い巨人がふたり現われます。ニモとインプはそれに気づいて逃げ出しますが、フリップは巨人たちに気づいていない...前回はそんなところで終わりました。

 

 今回の冒頭、フリップはすでに巨人にとらえられています。「聞けよ! ちょっと待てって! 走るなってば!」とフリップは叫びますが、ニモとインプは振り返ることもなく走っていきます。「聞いてなんかいられないよ!」。

 

 2コマ目、逃げるふたりは森を抜けます。インプはかれの言語でなにかしゃべっていますが、なんて言ってるんでしょうね。「引き離したぞ!」かな。ニモは「助けを呼んでくる!」と言ってます。画面奥には巨人がなおも追いかけてきて、ひとりは「おれからは逃れられないぞ!」とすごんでいます。こわいですね。引き抜いた丸太を片手でつかみながら走ってきてますからね。

 

 ふたりはなおも走りつづけ、ニモは「助けて! だれか助けて!」と声をあげます。しかし、3コマ目は様子がおかしいです。インプの足の先には、干し草用のフォークをもってる男性がいて、なにかを運んでくる女性もいて、ニワトリたちがいます。馬が荷車を引いてあわててもいますね。農作業の人々や動物たちはとてもちいさく描かれているのですが、かれらがちいさいのではなく、ニモとインプが巨大化してしまったのですね。御者こそ「助けて!」と言っているようです。

 

 4コマ目はさらに不思議です。ニモとインプは住宅街にやってきましたが、この住宅街の色調が黄色優勢になっていて、それだけニモとインプのカラーリングが目立ちます。もしかしたらこれは、夕暮れ時、ということなのかもしれませんが、走るニモとインプの影が地面にないということもあり、かれらは背景に浮かんで見えます。

 

 5コマ目は薄い青のトーンで(夜かな)、これもニモとインプの色が目立っている(もちろん、コマの中央に大きく描かれているせいで目立っているということもあります)。ただ、今度は影が描かれているので、かれらがどこに立っているのかわかります。街の中心部っぽいですね。画面左下の大きな建物には「キャンディ・おもちゃ」と書かれていますので、商店街なのでしょう。

 

 ニモはとつぜん「だれ? だれかがぼくを呼んでる!」と、画面右上のほうを見つめます。だれなんでしょう。夢オチの場面では「ニモ、はやく寝なさい!」と家族のだれかに言われていて、ママかパパがニモを呼んでいたわけですが、眠りの国ではだれに呼ばれてるんでしょうね。つかまったフリップのことも気になるし、次週が待ち遠しいです。

 

 あらためて各コマを見比べてみると、ニモとインプは徐々にからだが大きくなっています。3コマ目では中景にいたのが、4・5コマ目では前景に描かれていて、遠近法的な点でからだが大きくなっているというのもありますが、と同時に、前景に描かれている2コマ目よりも中景の3コマ目のニモたちのほうが大きい。

 

 また、地上の人々や建物の大きさと比較してみても、3コマ目のニモたちは小屋よりすこし大きいくらいだったのが、5コマ目では四五階建てのビルくらいの大きさになっています。もはや赤い巨人たちと同じくらいの背の高さになっているのかも。