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いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

リトル・ニモとアンブレラ・ツリー

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 1906年8月12日『ニューヨーク・ヘラルド』の「眠りの国のリトル・ニモ」です。

 

 巨大な蝶がニモとお姫さまを取り囲んでいるコマからスタートです。蝶は彼らになついているようです。羽の模様がぜんぶちがっていて、どれも複雑な形と色をしているので、まずはそこに目を奪われますが、よく見ると蝶の胴体部分もちゃんと描かれていて、虫が苦手なわたしにはけっこうキツい...。

 

 次のコマで蝶たちは一斉に飛んでいってしまいます。お姫さまによれば「アンブレラ・ツリーのところに飛んでいくんだわ」ということで、たしかに、閉じたビーチパラソルみたいなのが見えます。ニモが「どうして傘の木に? 雨が降るの?」と聞くと、お姫さまは(3コマ目で)「そうよ、この庭では毎日5分間、雨が降るの」と答えています。

 

 それでニモたちも、アンブレラ・ツリーをのぼっていきます。葉と蔓の螺旋階段がありますが、この階段こわいですよね。かなり高いところまでのぼらなくちゃならない。ニモは「いい眺めだね」とか言ってますが、高いところが苦手なわたしにはけっこうキツい...。

 

 ⑤と⑥のコマでは雨が降っています。とくに⑥のコマではスコールのようですね。雨を示す縦線がわりと等間隔に引かれていて、空の青っぽい部分は線の密度が増しています。また、アンブレラ・ツリーの陰になっているところも縦線の密集によって表現されています。一方でその陰のかたちを縁どる輪郭線は、なかったり、見えにくかったりです。ほんとうに雨の日っぽい。雨の日の見通しの悪さが感じられますね。

 

 雨宿り中、お姫さまはニモに「水浴びしに行きたいわ、人魚たちに会いに行きましょうよ」と提案しています。ニモは「行く行く! この雨いつまでつづくかなあ」と超乗り気で、しかしお父さんに水をかけられて目を覚ましてしまいました。人魚の話をされたとたんに雨がうとましく思ったということでしょうね。さすが女好きだ。