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いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

リトル・ニモと食べられるタイトル

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 1907年12月1日『ニューヨーク・ヘラルド』の「眠りの国のリトル・ニモ」です。

 

 ニモたちは空腹のなか、食料貯蔵庫や厨房付近を歩きつづけています。本来このあたりにいるはずの人たちはみな、モルフェウス王の命により、ニモたちを探しにいっていて、おかげで皮肉にも、ニモたちはだれにも会わず、厨房などには鍵がかけられています。

 

 いまかれらがいるのは宴会場前です。ここも鍵がかかっています。前回のエピソードでかれらは七面鳥や豚などの動物たちに出会っていましたが、動物たちは食材になりたくないからか、すでに逃げていってしまったようです。「七面鳥の脚一本でいいから食べたかったぜ」「そうだね、でも逃げちゃったよ」と、フリップとニモがしゃべっています。

 

 フリップはいよいよ自暴自棄になってきました。「もうこうなりゃやけだ!」と言って、かれはなんと、コマの枠線を手にし、それをもぎとってしまいます。ニモはあわてて「ダメだよ! マンガ家が怒っちゃうよ!」と大声をあげます。

 

 フリップは「かまうもんか、食っちまおうぜ」と言って、折った枠線を釣り竿みたいにもち、頭上にあるマンガのタイトル「眠りの国のリトル・ニモ」の、LITTLE の文字を落とします。「絵をダメにしちゃいけないよフリップ!」。

 

 フリップはニモのいうことを聞きもせず、E を食べはじめます。「べつにいいだろ。お、こりゃうめえぞ! 食ってみろよ」。ニモはL を手にしていて、「おいしいの? お腹すいてるからこのマンガぜんぶ食べちゃえるよ」と、直前あんなにあわててたのに、もう食べる気でいます。

 

 ジャングル・インプはといえば、3コマ目でフリップのように枠線を折り、次のコマでSLUMBER の文字を落としています。食べるつもりでしょう。

 

 「食っちまえよ、おれらを描いたやつが悪いのさ」「ぼくたちをこんなふうにお腹ぺこぺこにするべきじゃなかったよね。これおいしいね!」。かれらは作者に毒づきつつ、おいしそうに文字を食べています。どういう味と食感なんでしょうね。クッキーみたいなものでしょうか。

 

 かれらはどんどん食べつづけ、タイトルの文字がどんどん少なくなっていきます。そうしてかれらは「ちがう自分になってきた感じがするな」「太ってきてない?」と、自分たちの変化に気づきます。それまでのコマのかれらとくらべて、たしかにすこしふっくらしてきていますね。

 

 7コマ目のかれらは完全に丸くなっています。「これ、なにが入ってるんだ?」「インクだけだと思うけど...うわあ、風船みたいになってる!」。やせ細っているよりは、こっちのほうがかわいいような気もしますが、歩くのは遅そうですね。いつになったらお姫さまに会えることやら。