いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

リトル・ニモとビル街の大火

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 1907年10月6日『ニューヨーク・ヘラルド』の「眠りの国のリトル・ニモ」です。

 

 前回、フリップがニモたちと再会できました。森の巨人たちに捕まってしまったフリップでしたが、どうやら逃げてこれたようです。「まあ待てよ! おれがあの巨人どもからどうやって逃げてきたか教えてやるから。どっかにすわろうぜ、全部聞かせてやるよ...」。

 

 しかしニモはビルのむこうを指さして「見てよフリップ! きみがけっ飛ばしてきたところ! 火事になってるよ!」とあわてています。たしかに煙が上がってますね。

 

 次のコマになると煙がさらに広がっています。「え、おれがやったの? いやそんなつもりなかったよ、走ってきてちょっと倒しちゃっただけさ! 火を消さなきゃな」「広がってる! はやく何かしないと、ぜんぶ燃えちゃうよ!」。

 

 火はどんどん燃え広がっています。フリップが「はやく水をかけるんだ!」と、川の水を手ですくって街に浴びせてます。ニモのほうは炎がすごくて、ニモは熱いんじゃないかと思いますが、必死だからか「はやく水を!」しか言ってません。火事場のなんとやらでしょうか。

 

 4コマ目、街のほうは完全に煙につつまれてしまい、火事がどうなったのかよくわかりません。鎮火したのかな。ニモは「ふう! 火が消えた。よかった!」と安心してるようです。

 

 いずれにせよ街が見えないので、読者の注目は手前の三人に集まります。フリップが「いて! なんだこのチクチクするのは...いってえ!」とさわいでいて、インプといっしょに画面左に視線をやると、そこでは軍艦がこの巨人たちに向けて砲撃していますね。てめえらいいかげんにしろ、ということでしょうか。

 

 軍艦は画面左から、徐々に右へとすすみ、三人を画面右のほうへ追いやります。「走れ走れ! 海軍がうしろにいるぞ! よそ見してないで逃げるんだ!」「ギメル・イグル・イプ・ソグル・オプ・ソグ!」「フリップのせいでしょ! 気をつけてよもう」。

 

 ニモはコマのいちばん右まで来て、目が覚めます。するとお母さんでしょうか、「ニモなの? うろついてないでベッドにもどりなさい」という声がしてきました。軍艦とお母さんとのあいだで板挟みにあってますね。

 

 ところで街のビル群は、ふしぎな焼け残り方をしていますね。上の階のあたりはなくなり、ところどころ鉄骨だけが残っていますが、地上のあたりは壁も残っています。ニモたちが上から水をかけたからなんでしょうね。あるいは、ニモがこの夢において、街の人びとの逃げ場を残しておくシナリオをつくった、ということなのかな。

レアビットとアメフトの恐怖

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 1905年11月25日『ニューヨーク・イブニング・テレグラム』の「レアビット狂の夢」です。

 

 アメリカンフットボールの場面がたくさん描かれていますね。出だしはこんな会話です。「勝てるといいわね。もし勝てたら、あなたに身も心もささげます。パパが喜べばだけど」「きっと勝つよ! あなたの心のためなら、ぼくは人生をかけて戦います」。ガールフレンドの熱烈な応援に、この変なプロテクターの男性はやる気に満ちあふれています。

 

 2コマ目、すでにゲームは開始されています。選手のひとりが「61、47、583...」などと数字をしゃべっていますが、これはたぶん「オーディブル・コール」ではないかと思います。あらかじめ決めていた作戦をゲーム中に変更するときに、味方にだけわかる暗号をつかって伝えるわけですね。

 

 その後、選手たちが何人もつみかさなっていて、「よし、12ヤードは進んだぞ」という声があるなかで、気づけばひとり、左腕をひきちぎられて倒れています...。審判と救護班でしょうか、ふたりの男性が「腕がありますよ先生、これはかれのですね」「全部あるか、よく見てくださいね」などと話をしています。

 

 左腕を失った選手は、驚くことに立ち上がり、「よし、やろうじゃないか! おれたちは勝つぞ!」と仲間に声をかけています。ガールフレンドに応援された選手でしょう。仲間たちも「あいつやる気満々だな」と、かれがゲームに加わることを拒否しません。みんなどうかしてるな。

 

 そしてまたオーディブル・コールです。べつの選手が「あんなすごいやつ見たことないよ」といっていますが、もちろん主人公のことですね。で、「よし、また12ヤードだ。勝てるぞ」という声と、選手たちが山になっている状況のあとで、8コマ目、こんどは右足がひきちぎられました。

 

 しかしこの選手はまったく動じません。救護班に「松葉杖をもってきてくれ! 大丈夫だから! おれはつづけるぞ!」と、重傷を負いながらもゲームに参加しようとしています。愛する女性を思う力はすごいですね。

 

 まわりの選手からは、「あんなタフな男とゲームするなんてことがあるか? まったく恐ろしいやつだ」などと、敬意を払っているのか単に恐怖しているのかわからないような声が聞かれます。

 

 左腕、右足と失った男のチームは、三度目のオーディブル・コールのあとで15ヤード進むことに成功しますが、男は11コマ目でついに首を切断されてしまいます。それでも、かれは元気です。「おれのことは気にするな、今日はいままででいちばん調子がいいんだ!」。救護班のひとも「ああ、頭突きもうまくやるだろう」といってますので、まあ大丈夫なんでしょう。

 

 いちばん下の段では、タッチダウンのあと、左腕と右足と頭のない男が松葉杖を器用につかってフリーキックです。審判が「ポールのあいだをまっすぐ抜けていった、こんな見事なキックは見たことがない。うむ、試合終了だ、歴史に残る大熱戦をタイガースが制した」と感動しています。

 

 ゲームのMVPはは、右腕のひじを松葉杖にのせ、切断された頭を右手にもちながら、ガールフレンドのところにやってきます。右手のうえの頭はじつに晴れやかな表情で、こうしゃべっています、「見てた? 圧勝だっただろう? ぼくがなにを思ってたかわかるかい?」。

 

 男はきっと、彼女が「わたしのことを考えていてくれたんでしょう」と言ってくれるのを期待していたのでしょうが、彼女はそれどころではなく卒倒寸前です。で、夢からさめる。夢を見ていたのは彼女でした。

 

 からだがバラバラになる話は前にもありました(レアビットと交通渋滞 - いたずらフィガロ)が、このときも、バラバラになるのは男のひとで、夢を見るのはその妻でした。バラバラになった本人の夢じゃないのはなぜなのか。

 

 それと、ニューヨークの交通渋滞のように、アメフトというスポーツも過酷である、と思われていたことがわかります。当時は暴力的なスポーツと思われていたようですね(American football - Wikipedia)。もしかしたら彼女は、実際にアメフトの選手であるボーイフレンドを心配するあまりこういう夢を見たのかもしれない。

レアビットとここはわたしが払いますから

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 1905年11月22日『ニューヨーク・イブニング・テレグラム』の「レアビット狂の夢」です。

 

 「あなたはほんとうの友だちですよ、ぜひわたしの気持ちをわかっていただきたい...」「いやいやお気になさらず。あなたとはずっと友だちです。わたしが...」。ふたりの男性が意気投合していて、どうやらお互いに、カフェで飲み物をおごらせてほしいと思っているようです。

 

 「何にしますか? 一杯どうぞ」「あなたに一杯ごちそうしますよ」と、ふたりとも同じことをいいながら着席して、ウェイターに「ハイボールを一杯ずつもってきてくれ」「そう、いいスコッチのやつをね、すぐに頼む」と同じ注文をしています。

 

 その後も「いやもう、わたしの気持ちをわかってくださるかどうか...」「わたしだって、あなたをすばらしい人だと思うからこそこうしているのですよ...」と、ふたりともとにかく相手のことで感激していて、ごちそうしなけりゃ気がすまないといった感じです。

 

 5コマ目、すでに瓶とグラスがいくつかテーブルに乗っていて、そろそろ支払いを、という段です。「ここはわたしが支払いますよ」「いや、わたしが払う。かれからは受け取らないでくれ」と、居酒屋あるあるですね。「わたしが注文したんですよ!」「いやちがう! あなたはお金を出さないで!」。

 

 そのうち、ふたりの客はウェイターのまえで取っ組みあいをはじめます。「お金を出さないでくださいよ、ダメですよ!」「いやわたしが払うんだ、あなたはお金をしまっててくれ、わたしが払うよ!」「なんでですか! お金はポケットに入れててくださいよ!」「あなたに支払いはさせられないんだ!」

 

 ウェイターからしてみればめんどくさいことになったわけですが、9コマ目ではさらに災難がふりかかっていて、店員は客たちに「じゃまをするな!」「ここから出ていけ! わたしたちの問題なんだ!」といわれながら顔を殴られてしまいます。このウェイター、なにか火に油を注いだようなんですが、なにをいったのかはわかりません。ふたりのあいだに割って入ったんでしょうね。かわいそうなことです。

 

 というわけで、この夢を見ているのはウェイターでした。上司に「おい! 起きろ! ここで寝ちゃいかん。忙しいんだから」と起こされています。「すみませんボス、レアビット食べたらちょっとうたた寝しちゃって」。これからホールに出ていくのでしょう。めんどくさい客がいなければよいのですが。

リトル・ニモと9兆ドル

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 1907年9月29日『ニューヨーク・ヘラルド』の「眠りの国のリトル・ニモ」です。

 

 進んでも進んでも高層ビルがつづいて、うんざりして座りこんでしまっているニモとインプがいます。あたりは暗くて、夜になってしまったのでしょうか。

 

 画面の左のほうからコマを横切ってきたサーチライトが、ビルの壁に「リトル・ニモの行方を情報提供した者に9兆ドル。モルフェウス王」という文字を照らしています。ニモはそれを見て「ボクたちを探しているんだ! ここから降りなくちゃ」と言っています。

 

 ニモとインプはビルを降りていきます。途中、ニモは「宮殿までの帰り道がわかるといいなあ」「この人たち、ボクたちがここにいるってこと伝えてほしいよね」「フリップがいればなあ」などとしゃべっています。9兆ドルの懸賞金が出ているにもかかわらず、ニモはこの街の群衆たちにあまり期待していないのかもしれません。

 

 ニモとインプが地上に降りると、それを指さす人たちが何人かいますね。さすがに無視できる大きさじゃないからですが、人びとの声は聞こえてきません。ニモが期待していないからなのか、街の人びとはニモの物語にからんでこないみたいです。

 

 5コマ目、ニモは「川だ! ここから出られるよ」と、高層ビル街からの脱出を喜びます。そしてそのまま川に入っていくと、6コマ目の右上のほうから、フリップがビルを破壊しながらやってきました...。「おい! 待て、待ってくれ! おれの話を聞いてくれよ!」だそうです。

 

 フリップは、森の巨人に捕まってしまっていたんですが、その後どうやら逃げてこれたようです。どうやって逃げてきたんでしょうか。ニモは「フリップが走ってきた! ほら!」と興奮しています。安堵しているのかもしれません。破壊されたビルの下にはおそらく数多の人びとがパニックだと思いますが、やはりニモはそんなことはどうでもよく、フリップが来たことのほうが大事のようです。

リトル・ニモと高層ビル街

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 1907年9月22日『ニューヨーク・ヘラルド』の「眠りの国のリトル・ニモ」です。

 

 ニモとジャングル・インプが真ん中に立っています。ふたりは巨人の姿です。前回、森に棲む巨人から逃げている途中で、いつのまにかかれらも巨人になってしまったのでした。フリップは森の巨人に捕らえられてしまって、ここにはいません。

 

 ニモとインプの周囲には、街の人々が大勢おしよせています。ニモの足下に警官たちが来たので、ニモは「ぼくたち道に迷ったんです! モルフェウス王の宮殿から来たんだけど、巨人がぼくたちのガイドを捕まえちゃって...」と訴えます。

 

 しかし警官たちはニモのことを知らないようで、「いや、この街を出てってくれないか、すぐにね、じゃないと逮捕しますよ」と冷たい反応です。群衆のなかからは「ガイドを捕まえた巨人とやらを見てみたいもんだね」とか「自分たちで巨人をなんとかしたらどうだい、あんたたちも十分大きいよ」とか聞こえてきます。

 

 ニモは、街の人たちの援助をあきらめたのか、「ここをのぼったら宮殿が見えるかな」と、近くのビルに手をかけます。警官はなおも「宮殿が見えたらできるだけすぐに出てってくれよ!」と声をかけていますが、ニモはしょんぼりもせず、がんばってビルをのぼりつづけます。フリップがいないので、自分が主体性を発揮しないと物語が進みません。

 

 ビル群は、うまい具合に階段のようにならんでいて、ニモはなんとかのぼりつづけることができます。とはいえニモから見れば自分の背丈ほどもある段差をのぼらなければいけないので、けっこうハードだとは思います。巨人になったことで筋肉も発達したんでしょうか。あるいは夢のなかなので重力が弱いとか。

 

 2コマ目から5コマ目にかけて、ニモはどんどんのぼります。ニモの紙面上の位置もすこしずつ上に置かれ、ニモの白いからだが右上がりに向かっているので、読者は視線を横に流すだけで「おっ、ニモがんばってるな」とわかります。

 

 それに呼応するように、ニモのセリフも「迷子になっちゃったな」「けどここをのぼれば、どのあたりかわかると思うんだ」「宮殿のひとに合図できるはずだよ」と、前向きなものです。

 

 しかし6コマ目、「うう、てっぺんはまだかなあ? 疲れてきちゃったよ」と弱気の発言が出てしまいます。そして次のコマで、ビルが無数に建ちならぶ透視図法的空間にやってきました。空間の奥にはビルしかなく、宮殿が見えるものと思ってがんばってきたニモは「ひゃあ、見えないよ! フリップがいてくれたらなあ!」と、先行きの見えなさにがっかりしてしまいます。

 

 インプは、5コマ目からずっと汗をかきっぱなしです。ジャングルにいた頃には見ることもなかった光景ですから、もしかしたらこの汗は体力的な問題というより精神的な不安を示しているものかもしれません。宮殿のなかではいろいろいたずらしていたインプですが、高層ビル街では緊張するのかな。あるいは、ひとがぜんぜんいなくなってしまった孤独がつらいのか。

レアビットとルイス公

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 1905年11月18日『ニューヨーク・イブニング・テレグラム』の「レアビット狂の夢」です。

 

 「ルイス公(Prince Louis)が街で発砲するなんて信じられない。銃声が聞こえたが」。寝床につく男がひとりごとです。するとすぐに、巨大な銃弾が窓ガラスをつきやぶって部屋のなかに入ってきました。「やはりか。イギリス軍艦が13インチの砲弾をぶっ放してきたぞ」。

 

 このルイス公は、5コマ目の「バッテンベルク(Battenberg)」という発言とあわせて考えれば、当時のイギリスの軍人、ルイス・アレグザンダー・マウントバッテン(Prince Louis of Battenberg - Wikipedia)で間違いないでしょう。もとはバッテンベルクという名前でしたが、第一次大戦時にドイツ語風の「バッテンベルク」から英語風の「マウントバッテン」に改名しました。

 

 ルイス公はドイツ系の人ですが、イギリス海軍のトップにのぼりつめました。出世欲の強い人だったみたいです。そうした性格は当時すでに世間に知られていたのかもしれませんね。

 

 部屋のなかに砲弾を撃ち込まれた男は、砲弾を窓のそとへ投げ捨てようとしながら「ルイス公は、やろうと思ったらおまえたちをめちゃくちゃにできるんだぞって言ってたな」とつぶやいています。砲撃の理由として、なにか思い当たることがあるのでしょうか。ルイス公をキレさせたんですかね。

 

 砲弾を投げ捨てる間もなく、新たな砲撃が次から次へと行われます。男は「アンクル・サムはすごく忙しくなるだろうな」などと悠長にかまえていますが、砲撃がいっこうに止まないので、さすがに最後はもうなにもいえず、コマのなかが砲弾で埋め尽くされていくのをどうすることもできません。

 

 ところでこのマンガは4コマ × 4列でできていますが、全体を見渡してみると、砲弾による壁の穴が列ごとに増えていく様子がすぐにわかります。各列の横の連続性が強調されているように思います。また、それぞれの穴もコマのなかでバランスよく開けられていて、白い部屋のなかで黒い穴がよいアクセントになっています。

レアビットと馬にけとばされる男

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 1905年11月15日『ニューヨーク・イブニング・テレグラム』の「レアビット狂の夢」です。

 

 ひげを生やした男がいます。左の袖を見ると、ところどころ破れていますので、あまり裕福ではなさそうです。ホームレスかな。かれのひとりごとは、「ピッツバーグ行きの貨物列車をつかまえんとなって思ってたけど、王子さまからの手紙によりゃあ、おれにホースショーに行ってもらいたいのか。そんなら行かなくちゃな」です。王子さま...イギリスあたりから王子さまが来てるんでしょうか。

 

 というわけでホームレスの男は、ホースショーにやって来たようです。警官らしきふたりが「あいつ知ってるか?」「ああ、女性騎手の審判で有名なんだ」と話していまして、その界隈では知られた人物のようです。かれは「会場が満員じゃないなら、取りしきるのはごめんだ。おれの奉仕はすごく重要なんだから、座席を無駄になんかできねえだろう」と自信たっぷりです。

 

 男は会場に到着し、すでに競技場のなかにいます。むこうから馬を連れたひとがやってきています。観客席からは「かれがホースショーを考案したんだ」と聞こえてきて、さらに大きな話になってますね。ホームレスの男は「おい、下僕ども! じっとしてるんだ! 聞こえないのか?」と、むこうから走ってくるひとに対してでしょうか、馬から離れるよう指示しています。

 

 その後、男は馬のちかくに立ち、「みなさんにこうしてご挨拶できることをありがたく思います。ではこれから、このサラブレッドを見ていきましょう」とうやうやしく述べます。馬の品評をはじめるみたいですね。

 

 しかし5コマ目、馬は後脚で男をけとばします。「こら! おとなしくしなさい!」。男はめげずに「この馬には優れたところがじつに多くありますな」と馬の品評をつづけていますが、馬は今度は、かがむ男の顔を前脚で踏みつけます。

 

 男は「15セントほどよこせって言ってるのかもしれんな、だけど...」と、賄賂の要求を感じているようですが、あげる気はないようですね。すると馬はムカついたみたいで、うしろの両脚で男を蹴りあげます。それで目が覚めたんでしょう。夢オチ場面では、警官がホームレスを警棒でつついていますね。「起きろ! ここを立ち去るんだ!」と怒鳴っています。

 

 ところで同時代には、フレデリック・オッパーによる And Her Name Was Maud という、ラバが農夫を蹴りあげる人気マンガがありました(And Her Name Was Maud - Wikipedia)。動物を支配してると思っている人間が、その動物に痛めつけられるというのがおもしろかったんでしょうか。でもホームレスが痛めつけられるのはかわいそうですね。

 

 オッパーのべつのマンガ Happy Hooligan でも、主人公の浮浪者が馬に蹴りつけられているエピソードがあります。まぬけそうな男が動物にまでバカにされる、という種類の笑いがいわば「鉄板」だったのだと思います。