いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

リトル・ニモとシスター・メアリー

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 1908年4月19日『ニューヨーク・ヘラルド』の「眠りの国のリトル・ニモ」です。

 

 魔法使いニモは、病気の女の子のところに向かっています。1コマ目の情報によれば、この女の子は「この街でいちばんステキ」と評判の子で、名前を「シスター・メアリー」というそうです。修道女のような名前ですね。

 

 2コマ目、ニモは婦人に「あのドアのところに立っているのが彼女のお母さんよ」と言われています。よーく見ると、たしかに戸口のところに赤ちゃんを抱えた大人の姿がなんとなく見えます。

 

 ニモたちはそのお母さんに会うと、ニモだけアパートのなかに案内されます。ぼろぼろの建物ですが、その家賃さえも払うことができずにいることが、3コマ目の「立ち退きを!」の貼り紙から察せられます。

 

 5コマ目、ついにご対面です。しかしシスター・メアリーは弱っていて、薄い布団と一体化しています。

 

 ニモはさっそくステッキを使って、なぜかベッドを豪華なものに変えます。

 

 病気で寝ている女の子を魔法の力で元気にしても、マッケイは急に飛び跳ねる女の子の姿を描くわけにもいかないから、魔法の力をわかりやすく提示するためにベッドの変化を描いたのでしょうか。

 

 でも黄金のベッドになったら、シスター・メアリーは体を少し起こすことができました。その後ニモはさらに、草が伝う天蓋付きベッドにして、あたり一面を白ゆりの花畑にします。透視図法空間が美しいですね。でもお母さんはどこいったんだ...。

 

 シスター・メアリーは「こんなところにいて、体も元気になるなんて、夢でも見ているのかしら」と不思議そうです。対してニモは「夢を見ているのがキミなのかボクなのかわからないけど、ボクじゃないといいなあ」だそうです。

 

 そして次のコマで即座にフラグ回収です。「ね、やっぱりボクだったんだよ! もう!」