いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

レアビットと煙の女たち

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 1906年4月24日『ニューヨーク・イブニング・テレグラム』の「レアビット狂の夢」です。

 

 「さて、一服したら寝るかな。寝る前のレアビットほどいいものはないね」と、おじさんがしゃべっています。いま食べてるのか、それともこれから食べるのか、よくわかりませんが、いずれにしてもいまはタバコ中です。

 

 おじさんは煙を吹かしながら「独身がいちばん」だと言っています。このマンガもそうだし「親爺教育」もそうですが、「結婚生活は男にとって地獄」という考え方がけっこう流行っている印象があります。「自分のお金をファッションに使われてばかりでうんざり」みたいな。マッケイ自身がそんなふうに思っていたフシもあり。

 

 3コマ目、タバコの煙が女性の顔になりました。おじさんは最初「こりゃおもしろい」と笑うのですが、5コマ目になると女性の数が増えすぎて、おじさんもすこし怖くなってきます。「あっちへいけ!」

 

 しかもこの女性たちはどんどん老いていって、中年、さらに老婆へと姿を変えていきます。9コマ目には骸骨になっていて、おじさんを取り殺そうとしているようです。

 

 すでに5コマ目の、おじさんの体が煙で見えなくなってきたあたりからヤバそうな雰囲気でしたが、最後はもうホラー映画のようですね。それにしてもおじさんの体と煙がまじって体の輪郭がぼやけてる様子には、マッケイは上手に描くなあと感心します。