いたずらフィガロ

むかしのアメリカのマンガについて。

リトル・ニモと鏡の間

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 1908年1月26日『ニューヨーク・ヘラルド』の「眠りの国のリトル・ニモ」です。

 

 いや〜、マッケイは気が狂ったんでしょうか...。よくもまあこんな手のかかるものを描こうと思いましたよね。わけなくアニメーターにもなれるというものです。

 

 ニモたちは「幻惑の間」に来ているところです。というかこの場所は「鏡の間」になっていて、ニモたちが鏡に写って無限に反復されています(とはいえ作中に「鏡」の文字は一言もありませんが)。「ここはなんなの? ぼくたちどこにいるの?」と、ニモは不安を隠せません。

 

 2コマ目までは、ニモたちが立っている床の色から、どれが本物のニモたちなのか比較的すぐに判明しますが、3コマ目となるとその方法では判断が難しいですね。かれらのふきだしも、発話者をわかりやすく示してくれていません。

 

 おそらく本物は、中央でこちらを見ているニモと、その右手前で画面右側を見るフリップ、それと反対側のインプではないでしょうか。この三人だけ、他よりもわずかに輪郭線と体の色が濃いので。

 

 4コマ目になると、左右だけでなく上下にも反復されてしまいます。万華鏡のようですね。万華鏡だとしたらだれかが筒に入ったニモたちを転がして楽しんでいるのか...と考えると怖いです。

 

 これまでしばらくしゃべっていなかったインプも、恐怖のためか騒ぎはじめました。自分が本物であるかどうか、自信が持てなくなってきたのでしょうか。考えるな、感じるんだ!(どうしても言いたかった)