レアビットとロケット男
1906年2月27日『ニューヨーク・イブニング・テレグラム』の「レアビット狂の夢」です。
「あいつ、いったいどういうつもりなんだ? あの株が下がったらあんなことやこんなことをするんだろう! とにかく電話しないと」「遊びでやってるんじゃないぞ...」と、男がなにやら血相かえて走っています。ビジネスの場面ですね。
男は2コマ目で体勢をくずし、前のめりに倒れていきます。「なににつまずいたんだ? 転んじまう...」。しかし男はその場で倒れ込むのではなく、まるでロケットのように、前に飛んでいきます。
男は「うわ! すみません! こりゃひどい!」とか言いながら、本を持って歩いている人や、大量の紙を持っている人、机でタイプライターに向かっている人などにぶつかっていきます。
どうでもいいですけど、どんな角度で机に当たったらこんなふうに机が傾くのか...。それとタイピストの女性には直接当たってないように見えますが、女性も体をくずしてますね。なんででしょうね。雰囲気?
9コマ目でようやく止まります。金庫でしょうかね。男の体はアコーディオンを押したかのように縮み、アルファベットでは書きあらわせない声を出しています。
ほんとマッケイはこういう、物や状況がぐちゃぐちゃになっていくのを描くのが好きです。ニーズがあったんでしょうか。大友克洋『AKIRA』の都市破壊シーンをずっと眺めてるのが好きみたいな、破壊シミュレーション願望がむかしから人の心に備わっているのか。
ここまで書いていま気づきましたが、rocket には「(価格などが)急騰する」という意味があります。もしかして株価を上げたい気持ちがあったからこんなことに...。